第30話 着せ替え人形ミルキィちゃん

 週の休みの冥曜日。

 ミルキィ達、徳Aクラスの女子が集まって買い物です。

 何が何でも、私にズボン穿かせるんだって。


 別に見られて困るモノ、ないよ?


「乙女の恥じらい!このまま首席で卒業すればミルキィも騎士爵位にあがるの!貴族籍なの‼︎」


 まぁ、貴族はおパンツ見せないでしょーけど。


「平民でも女の子は下着パンティ見せない!見られたら恥ずかしいの‼︎」

「だってー、村では夏なんかパンツ1枚で川遊びしてたよー?」


 ……………。


 後日、村長の奥さんミランダさんに聞いてみたんだー。

「5歳位までだったかしらね。女神様の洗礼後は浴衣にしてたでしょう?」

 パンツ1枚じゃ無かったよー。


 それはさておき。

 皆んなでお買い物って、こんなに楽しいんだー。


 先ずは、私の好みをって事で。

 自分で選んだズボンコーディネート!


「うん」

「予想はしてたけど」

「そうね。でもコレ程なんて」

「どうしたものかしら」


 え?

 プリシア?クラリス?

 ソリア?セレンディアも?


「ミルキィ、貴女」

「「「「ダサいわ」」」」


 そ、そんな4人声を揃えなくても…。

 私、泣いちゃうよー!


「意外とボーイッシュに決まるかと思ったのだけど」

「チョイスがオカシイのよ。センス疑うわ…って言うか、壊滅的ね」

「私が市井の感覚とズレてるのか、ヒヤヒヤしたわ。私ではなくてミルキィのセンスが変なのね」

「平民も流行りは貴族に準ずるわよ、セレンディア。素材や仕立てはともかくね」


 動きやすさで選んだつもりだった。

 後、好きな色。

 女の子らしく桃色系にしたのにー。


「その淡いピンクのシャツはいいけど、ならズボンのダークグリーンは何?」

「だって、魔物なんかと戦闘で飛び廻るからズボンなんだよねー?なら野戦で目立たないようにしないと」

「いや、茶系統でいいでしょう?どっからその色探してきてのよ」

「しかも中途半端な長さ。どうせ今迄スカートだったのだから、この際ホットパンツでも良かったんじゃないの?」


 そんな、この中袖みたいなズボンってダメ?

「オジサン達の避暑用部屋着が主なのよ、ソレ」


 別に男性向けって決まってる訳じゃない。

 平民向けの服屋って下着、上着、シャツ、ズボンやスカート、靴下くらいのカテゴリー。

 貴族向けなら、僅かな展示品が有るくらい。

 何故なら、希望や好み、用途等を聞いた後1から仕立てるから。

 急に必要となった時大丈夫なの?

 そう思って聞いたら「毎日替えても1年じゃ着終えない程の服があるのよ」ってセレンディアが応えてくれた。


 マジ?

 クラリスやソリアも頷いてるから、それが貴族の普通なんだろ。

 じゃプリシアは?

「平民でもタンス1つ位はね」


 寮の備え付けタンスすら引出し余ってしょーがないってのにー!


「ね、コレなんかどお?」

「いいかもね。ミルキィ、これも着てみて」


 やな予感!

 私は、皆の着せ替え人形にされてしまった。

 ね、買いに来たのズボンだよねー?

 コレ、ワンピだよー?


 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆


「アヤツが人間に斃された?」

「ハッ、あんなの、高位と名乗るのも不思議な程の奴だろう」

「何故存在がバレた。彼者の隠形変幻、人族に見破られるとは思えぬが」

「どうやら魔人族がいたらしい。厄介な事だ」


「魔人族…。この期に及んでも、まだ我等の邪魔をするのか!其奴に思い知らさせねば‼︎」


 

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