首席トリオの快進撃!

第13話 特Aクラスの生徒達

アイツミルキィ、今日も休みか?」

「みたいね」


 1年次特Aクラス。

 平民、しかも魔人族MIXのくせに学年首席のミルキィが学院を休んで3日。


 とうとう落ちこぼれたか?

 そんな訳ねぇよなぁ。

 このクラスにいるのは16名の超エリート。

 だからこそ、クラスメートの力量は把握してる。


 ミルキィは、平民とか亜人MIXとかを揶揄する事なんか此方が惨めになる位の錬成成果や座学でも秀才振りを発揮してる。

 また得物こそ大鎌だが、剣技でさえ騎士科の男共を凌駕してる。あんなちっこい女なのに、俺達が力負けするんだ。


 ドゥーハン公爵家嫡男で『魔法戦士』の才を得たウィルバルトも、本来なら家名にかけて首席とならなきゃ色々厳しい立場なんだが。

 上に3人いるんだ。

 内1人は、同じ騎士科のジオだからキツい。

 ケイン辺境伯騎士団長の次男で、才は『戦士』でしかないのに剣技剣戟が、最早初等科レベルじゃない。

 確かに奴の剣は特別製らしいけど、模擬戦は木剣で戦う。条件は同じ。だから純粋に技術の差。


 そのジオでさえミルキィには全く敵わない。


 座学ではケイン辺境伯令嬢クラリスがほぼパーフェクトって成績を出してる。

 …ミルキィは、その上をいってるけど。

 魔対戦の戦いとか、まるで見ていたみたいに詳しく語るし、戦史も細かい事迄知ってるし。


 要するに、劣等感を抱くのも馬鹿らしい程ミルキィは首席なんだよ。

 アイツが負けてるのはスタイルだけだろ。

 何せちっこいし。


 クラリスなんか、超絶美人でちょい膨らんでるトコあるし。

 他の女子…魔導師科のソリアやセレンディアも色白で守ってやりたいくらいか弱く儚気だ。商業科のプリシラも元気はミルキィに負けないにしても輝く笑顔に皆癒されてるし。


 まぁ、ミルキィだって充分美少女の範疇だ。なんだけど、他の4人が超美少女過ぎるんだよな。


 何処で何やってんだよ?


「こうなると、魔界に探りに行ったって噂、マジじゃねぇ?って思えてくるよ」

「違いねぇ」


 クラリスが神聖科の実習課題を終えて帰ってきた時、3人は慌てた感じで担任ジャックに報告にいってた。

 直ぐに学院長んトコいって、翌日には王宮へ出向いたらしい。


 魔族との遭遇して撃退したという話。


 そこいらの冒険者でも太刀打ち出来ねえぞ?

 実際、ジオとクラリスは気絶してしまったって。


 ミルキィが1人で相対し、従魔の力を借りて撃退したんだとか。


 この辺、王国の重要機密に近い話だ。

 いくらエリート候補生と言えど、そうそう耳にできる話じゃねぇよな。

 でも!

 クラリスもジオも、俺達に隠す事を拒んだ。

 結果、担任ジャックも折れたんだと。


 クラス全員で共有する事になって…。


 この日から、ミルキィは学院に来なくなった。

 前夜から帰ってないらしい。


 王宮からの帰り、「買い物あるから」そう言ってクラリス達はミルキィと別れ、寮に帰ってきたらミルキィは何処かに出掛けていた。

 勿論、従魔も一緒に。

 しかも、着替えと道具と各種ポーションを持ち出していたとか。

 それが分かっても、「また密かな外泊?明け方迄には帰ってくるよね」ってクラリスのヤツ、それ程気にも留めなかったらしい。

 始業時間になっても帰って来なくて、流石にクラリスもおかしいと思ったんだと。


 考えてみれば、ミルキィは着替えを数着持ち出していた。アレ?って思って確認してみると、ポーションや保存食なんかも棚になかった。


 この頃にはクラリス、メチャクチャ狼狽しててジオも慌てまくり、担任への報告が中々要領を得なかったって聞いてる。


「何かを確認しに行ったのやもしれませんね。故郷?もしくは魔人族のみが知る秘境があるのか。魔族に関して、何か言い伝えがあるのでしょうか?」


 ティオーリア学院長は、ミルキィが何かを隠しているのでは?と思っているみたいだ。


 だとしたら、何か残念だよ、ミルキィ。


 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆


「今、この鏡の前にいるのは貴女よね、レベッカ。私を訪ねてくるの、貴女位よ」


 ミルキィは、魔界の幼馴染ソーンの家を訪ねてみた。

 私の名を騙り大魔王として君臨する者の心当たりとして。でも…。


「ごめんなさい。もう生きて貴女に会う事はないのよ」


 何があったの?ソーン…。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る