第32話 OC-3

「今回も情報ありがとうございました」

「いや、今回の事件も未然に防げてよかった」


 FBIの窓口のマネジャーから感謝の意を示される。

 今回もテロリストを逮捕。

 大規模なテロ活動はうまく防げた。


 だが自分がやったことは”彼”からの情報を伝えただけである。


「ところで、早速で申し訳ないが次の情報なのだが・・・」

「え・・・これは・・・大丈夫なんですか?」

「まぁ、一応民間人だしな。仕方がない」


----


「君たちは一体何をしているんだ?それは俺の車だぞ」


 ここはN Cityの中心部にある高級マンション。Mr.チャンがA国の拠点としている。

 地そのマンションの地下のガレージに、何人もの男たちが作業していた。

 作業服の男たちに、スーツ姿の男たち。


 それらの大勢のお琴たちがMr.チャンの自家用車に群がっていた。

 秘書からの連絡を受けて、ガレージに来たMr.チャンは怒り声をあげる。

 しかし、男たちは気にした様子もなく作業を続ける。


「Mr.チャン。どうしました?カッカとして」


 車の陰から歩みだしてきた男性。

 Dr.ヤングである。


 地下のガレージにてDr.ヤングとMr.チャンが対峙した。


「Dr.ヤング。これが、怒らずにいられますか!?なぜ私の自家用車に何の用事があのですか?」


 ジャッキアップしたシルバーのメルセデス。

 その車体の下から這い出てきた作業着の男。


「Dr.ありました。爆発物です」

「なんだって!なんで私の車に爆発物なんかがあるんだ!?」


 作業着の男が立ち上がって手にしたものを見せる。

 マッチ箱くらいの小さな黒い箱。


「遠隔操作タイプの爆発物です。小さな爆発物ですが、ブレーキホースに設置されていました。走行中に動作した場合、ブレーキが操作不能となります」

「ご苦労。鑑識に回してください」

「了解しました」


 ガレージを出ていく大勢の男たち。

 あとに残ったDr.ヤングとMr.チャン。


「Dr.ヤング。説明してもらえますか?」

 怒りをこらえて、Mr.チャンが問う。


「申し訳ないが、言えることはほぼないのだ。国家機密なのでね」

「しかし!?」

「ただ、今回の犯行はわが国は関係ないとだけ言いましょうか」

「なんですと!?」


 Mr.チャンは心当たりがなくはなかった。

 ここ1~2年の間、本国の政府とMr.チャンの関係性は良くはなかった。

 だからと言って、爆発物を使うとは思っていなかった。


「くれぐれもお気を付けください」

「ちょっと・・・なぜDrが爆発物の存在を知っていたのですか!?」


 DRを呼び止めるMr.チャン。


「情報の提供があったのですよ。それだけです」

「一体、誰が・・・?」


 DR.ヤングはにやりと笑って、何も言わずに歩み去っていった。

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オーバークロック!! 三枝 優 @7487sakuya

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