(10)

 ※


 俺は卑怯だ。


 幼なじみの想いにすら素直になれない、ただのピエロ。


 ただ勉強が、スポーツが、人への気遣いが出来るだけ。


 みんなの理想でいられるだけ。


 この先、これから。


 どんなことが起こるのか分かっていながら。


 あいつの気持ちに分かっていながら。


 「今」という関係の居心地の良さに安住して、見て見ぬふりをした。


 気付かない、ふりをした。


 気付きたくなかった。


 小学生のままでいたかった。


 ――なにも知りたくなかった。


 少年でありたかった。


 ――純粋でありたかった。


 だって、もし。

 あいつとそんな関係を築いてしまったら……


 嗚呼。


 俺は。

 


 ――とんだ偽善者だ



 ※




(次回の話は8000字程度と長くなります。尺の関係で二つに分けてしまうと、歯切れが悪すぎるからです。あらかじめご了承ください)

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