第23話 トルネオにて
「なるほど…。
ブランパーダ夫妻が亡くなったのは聞いておったが、
まさかそのご子息とご息女が次の勇者と聖女になるとはのう…。」
ガタガタと
セレスとフランに向かって頭を下げた。
セレスとフランも
ミリアが現在までに分かっている情報を、イガラシに共有しているところだ。
ホセに運転を任せている鳥車の中には、
セレス、フラン、ミリア、イガラシが座っている。
外の
前方のイヴァンの鳥車のほうでは、同じくベリエッタが外を
「それと、クーデターを起こした
ミリアが説明する。
「
聞いたことはあるのう…。」
イガラシが、うんうんうなずく。
「今のところ道中で
一人だけ能力は分かっているのに、まだ戦っていない女
その女
ミリアが言うと、
「ふうむ…。そいつはまた
イガラシはついた
「あとは、
あるいは兵器があるようですね。
…そんなところでしょうか。今ある情報は。」
ミリアが
「その情報はワシも聞いておるよ。
おそらくは、それも敵の
イガラシも
「しかし、数千という規模の軍を焼くというのは
セレスが疑問を口にする。
「ふうむ…。
じゃが火の能力というのは
おそらく
つまり、複数の能力者が同時に
イガラシが右手の人差し指を立てる。
「それにナルグーシスの王宮の周りは地形もよくないからのう。
山や谷に囲まれておって、野営する場所は限られとる。
まとまって待機していた軍をそれこそ
イガラシが右手の中指も立てた。
「しかし…、
『夜明けと共に』
という点が気になるところなんじゃよなあ…。
イガラシは再び
「まあ、ここであれこれ
現場に行ってみるのが一番かと。」
今度はミリアが人差し指を立てる。
「あっ…。
それなんじゃが、ちょっと寄り道してもいいかのう?
と言っても、トルネオの北東にあるウェロム
大して遠回りにはならんと思うんじゃが…。」
イガラシが申し訳なさそうに言う。
「何かあるんですか?」
ミリアが
「ウェロム
情報が得られるかもしれんし、ケガ人の
せっかく
イガラシがフランのほうを見ながら言った。
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四日後。
正午を過ぎた
だが、町はひどい有様だ。
人族と
手に手に
中には
火や風や水や土の能力が使われているようだ。
建物はほとんどが
至る所に血の
おそらく、
「ホセ、イヴァン、鳥車に乗って町の外れまで
ミリアが二人に指示を出すと、
「出番だぞ。
今度はセレスを
セレスは近くにある民家の
タタッ!と登る。
そして争っているグループのほうを
出来る限りの大声で
「 ち ゅ ー も ー く ! ! ! 」
争っていた二つのグループがバッ!とセレスのほうを見る。
「 我 は
争 い を 止 め よ ! ! ! 」
セレスは続けてそう
「
カッ!
セレスの左手から
「ひ、ひええええー!」
「
「お助けー!」
ドドドドド…!
人族と
残された人族はポカーンとしている。
「(おかしいな…。スドリャク教徒だけ
セレスもポカーンとした。
「よっ。いいぞ。勇者様。」
ミリアがパチパチ…と
「すみません…。スドリャク教徒だけ
セレスは
「いや。ひとまず止まったし、あれで問題ないよ。
まだ争っている
ミリアが言い、残された人族のグループのほうへと歩き出した。
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結局、セレスは同じことを町の中で十回ほど
その間にミリア達は人族のグループから
フラン、アンネ、イガラシが
「ありがとうございます!
「(ニブロセルでもそうだったけど、
フランが感謝されているのを見ると自分のことのように
とセレスは思った。
「…やはりめぼしい情報は無いな。」
情報収集に行っていたミリアが、セレス達のところへ
「生き残った
外で悲鳴が聞こえて、あわてて飛び起きたら
そう言うとミリアは
「やはり、現場に行ってみるしかないか…。」
イガラシがアゴひげをなでながら言う。
「それしかないでしょう。
このままウェロム
ジョコネンという関所を目指しましょう。」
ミリアはそう言うと、
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
翌日。
日が暮れた
セレス達の視界にウェロム
ジョコネンという
だが、何やら様子がおかしい。
ドゴォン…!ドゴォン…!と、
セレス達は顔を見合わせ、
念のため鳥車を降りつつ、急いで
「止まれ!
この
急いで引き返すんだ!」
と、
「
セレスが
「いや、危険だ!引き返すんだ!」
兵士が再び
「
とセレスが
「私は火の
「ワシは水の
「私は
ミリア、イガラシ、フランも口々に
「いやいやいやいや…。
…え?…本当に?」
門の前までやってきたセレス達に、兵士は半信半疑という表情をする。
「敵はナルグーシスのクーデター軍か?
我々はその
向かってきているのは何人ぐらいなんだ?」
ミリアが
すると兵士は、
「いえ、クーデター軍なのかすら分からないんです!
大量のアンデッドなんですよ!」
と悲鳴のような声を出す。
「アンデッドだと?」
ミリアが言ったその時だった。
バゴォンッ!
セレス達がいるのと反対側、
ナルグーシスに面したほうの門に何か重いものが激しくぶつかった。
「…まさか!
外の
門の中に居る兵士達がザワつく。
バゴォンッ!
再び何かが激しくぶつかる。
門の
「マズい!
破られるぞ!」
門の中にいる兵士達が隊列を組んで
バゴォンッ!
ザバザバ…!
イガラシが次々と持っていたビンから水を地面に注ぎ始め、
「
と
バゴォンッ!
セレスとベリエッタは
ミリアとティナも
フランは後方に下がる。
アンネはグイと自分のビンの酒を飲む。
バゴォンッ!
バキィッ!
ガコォンッ!
門が
門にぶつかっていたのは大きな丸太だ。
「キャア!」
フランとティナが同時に悲鳴を上げた。
丸太を持ち上げているのは、ガイコツ。
無数のガイコツがカタカタ…と動いている。
「そういえば、
ミリアが呟くように言った。
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