第25話 「サウジ王の槍、命狙われるダヴィデ」

「サウジ王様!

ご命令通り、ペリシテ国の勢力5000を撃退すべく

ユーフラス川下流の平野に陣を敷いております。敵勢力は強大です!

特に将軍ゴリアテの甥にあたる将軍アキスによる新勢力は、我々アブラハ軍よりも優れた軍略家がいるようで、予想もつかぬ戦法で挑んでくるため、多大な損害を被っております!」


「ダヴィデよ!お前の軍は、勝利を治めているではないか!

お前は、王である我が軍の勢力を弱まらせようと図っているのだろう?」


「サウジ王様!

永遠に生きられますように!


我が軍の勝率がよく、他の軍が損害を被っているのは、意図的に策略だとおっしゃるのですか?

そのような訳がございません!」


「ダヴィデよ!

お前は、千人隊長の将であるのだから、他の軍団の戦況にも知略を注ぐべきなのだ!

それを・・手を抜き・・・傍観するとは・・何と怠惰な・・

今回の敗戦は、ダヴィデ!お前の責任である!

どう責任を取ってくれるのだ!!」


「サウジ王様!

私は、まだ一介の軍団長に過ぎず、

私よりも力のある将軍が多々おられる中で、若輩の身分である私が、他の将軍を差し置いて、出しゃばる訳にはいかない!と判断しておりました。ご命令であれば、全体の指揮を執りますが・・・」


「ダヴィデよ!夢見の少女セツラを

他の軍団の元に送るのだ!

そうすれば、他の軍団ペリシテ軍に対して、勝利を治める事ができるであろう!」


「サウジ王様!

夢見の少女セツラは、我が軍の直轄という訳ではなく、

起源の主の導きがある戦地に使者が遣わされ、アブラハ国の勝利を祈っているだけでございます!」


「ダヴィデよ!

お前は、言葉巧みに私の命令をはぐらかし、

王権を手中に収めようと、企んでいるのであろう!

そうはさせない!お前の命など、いつでも奪える事を忘れるな!!!」


サウジ王は、手元にある槍をダヴィデ目がけて放った

ダヴィデは、素早く避けると、その場を去り、戦場へと戻って行った

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