第25握利 龍平くん家と一門さん家は親バカでした。
「結局さー、“米粒の一”のまま、刑事を辞めちゃったからさー、なんかー嫌なんだよねー」
「でも、今では気に入ってんだろ?」
「まぁねー、つーちゃんがおにぎり屋さん始めたからさー、今ではとってもお気に入りだよー」
典安はニコニコ笑いながら、レザーの幅広なつっかけサンダルを脱いだ。
(つーちゃん? ああ、椿佐だからか)
龍平は色んなあだ名が飛び交い、混乱しそうな頭を何とか落ち着かせていた。
「君が龍平くんだねー、いやー、大きくなったねー」
「オレのこと知ってんの……っすか」
龍平は隣に座った典安を見た。
「うんうん、吉やんと一緒に
「ま、勝っちゃんがいきなり『俺、刑事を辞めます! 子供たちの帰る場所を造ります!』と辞表を叩きつけた時は、驚いたけどな」
「そうそう」
「あん時の、課長の間抜け
吉之助と典安は思い出話に花を咲かせた。
「で?
「な、何だよ」
いきなり話を振られ、龍平は身構えた。
「典っぺんとこのつーちゃんとやらは、別嬪になってたのか?」
「え……、いやー……」
「ダメだよー、龍平くん。いくらつーちゃんが美人さんでも手を出しちゃー」
「甘いな典っぺ。つーちゃんはな龍の初恋相手なんだぞ?」
「え!? そうなのかい!?」
「あー……」
吉之助と典安に挟まれ、龍平はタジタジだ。
「まぁねー、小さい時のつーちゃんは可愛かったからねー、惚れちゃうのもわかるなー」
典安は親バカである。
「何を言う、小せぇ時の龍も、クソ生意気で可愛かったぞ」
吉之助も親バカである。
「二人が一緒にいる時、微笑ましかったよなー」
「ねー」
「…………」
二人は大親バカである。
「でも、それはそれ、これはこれ、だからねー? 護衛してくれるのは感謝するけど、初恋だとしても手を出しちゃダメ? いーい?」
「ああ……、はい……」
龍平は苦笑しつつ、
(まだ告れてもいねーのに、手を出せるかよ……)
と、思っていた。
−−−−−−
あとがき。
いつか、元刑事トリオ、揃わせたいです(笑)
次は、おにぎり出ます! あと、椿佐も!(笑)
ヤンキーの龍平くんと元ヤンの一門さん〜恋するおにぎり食っていきねー!〜 冥沈導 @michishirube
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