第19握利 りゅうくんのはつこい。

「え……、いや、でも。全然男女じゃねーし」


 りゅうべえは混乱した。今の椿つばと『羅武らぶえん』にいた“つばさおねえちゃん”が一致しないからだ。


 だが、無理もない。当時、椿佐は十四、五歳。今のように男言葉も使わなければ、髪型も女の子らしく伸ばしていた。

 今の男前な椿佐が、あの“つばさおねえちゃん”だと、すぐに一致できるのは、恐らく園長ぐらいだろう。


「は!? え!? ちょっと待て!」


 龍平は座り込んで胡座をかき、頭を抱え、必死に理解しようとした。

 だが、理解しようとすればするほど、混乱するばかり。


 何故なら。



















『……これやる』


『うん? これは?』


『シュシュとかいうやつ。えんちょーに教えてもらった』


『りゅうくんが作ったの?』


『……うん』


『これ、くれるの?』


『……あした、おれ、ここでるから』


『そうだったね。優しい家族と一緒になれてよかったね』


『……うん。だから、その……、今までありがとう、つばさおねえちゃん』


『こちらこそっ。あ、ちょっと待ってね。よいしょっと。どうかな? シュシュ似合う?』


『……にあう』


『ふふっ、ありがとう。元気でね、りゅうくん』


『うん……』
















 龍平少年の初恋は、“つばさおねえちゃん”だったからだ。



−−−−−−


 あとがき。


 おにぎりはもう少しお待ちをー。


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