第3話 レベルとスキル

村に到着した次の日から俺は元孤児院の修復と言う仕事に追われる日々が始まることが確定してしまった。


まずは床の穴を埋めるべく建材を探していると、執事のセバスと庭師のジョーンズが建材を運んできていた。


「ルーク様。こちらの木材を自由に使ってこの孤児院を修復してください。足りないようであれば私に申し付けていただければすぐに補充してまいります。では私はこの後も仕事がございますので失礼させていただきます」


「坊ちゃん。頑張ってくだせぇ。俺は庭を整えているので何かあれば声をかけてくだせぇ」


誰も手伝ってくれないことには愕然としたが、俺はとりあえず腐った木の板をはがし、合成で木材の切れ端を一枚の板にして補修してみることにした。


何とか集中して頑張ること一時間、限界を超えた俺は一枚の板で腐って穴が開いた床を修復することに成功した。だが文字通り限界を超えていたので、その新しい床に突っ伏して眠ってしまった。


俺が次に目を覚ました時、そこは寝室だった。そばにはじいちゃんが控えており、俺のことを見ている。


「ルークよ。よう頑張ったのぅ。神技のレベルが上がっておるぞ」


「レベルって何?」


「神技と言うのは何かのきっかけでできることが増えていくのじゃ。それが使用回数なのかできないことに挑戦し続けることなのかは分かっておらんが、ルークは一日でその壁を突破したのじゃ。誇ってよいぞ」


「それでじいちゃんの鑑定には俺の神技が新しく何かできるようになったかわかるの?」


「それは分からん。儂にわかるのは神技とスキルの名称とレベルだけじゃ」


「スキルって何?」


「スキルと言うのは剣術や魔法と言った技能のことじゃ。セバスが暖炉に火をつけていたのは火魔法のスキルなんじゃよ。スキルは一人で十まで覚えることができるらしいがそれなりに特訓が必要なんじゃ」


「じゃあ俺も特訓を頑張れば魔法を使えるようになるの?」


「なる。だが先に合成を特訓してレベルを上げるのが先じゃ。魔法を使いたいのであれば魔法書を取り寄せるから待っておれ」


「うん。ありがとう。じいちゃん」


「それだけ話せれば気力も回復しとるじゃろ。さあ孤児院の修復の続きを始めるぞ」


俺は泣く泣くベッドから降りてじいちゃんの後に続く。行き先は俺が修復した床のすぐ隣だった。


「さあ。一度できたのだからできないとは言わせんぞ。その隣の床を修繕して見せよ」


その後も木材をつなぎ合わせながら一枚の板で床を修復するのであった。ちなみにかかった時間は一時間だった。

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