第33話 ハンターギルドからも偉いさんがやって来た

 国の機関から人がやってくる少し前にハンターギルドから俺、そして竹嶌さんと話がしたいと連絡があったようだ。

 もうハンターギルドにも知れ渡ったのか?と思ったが、今更会うのを拒否しても仕方がないし、もし会って話をして少しでもハンターの地位向上に役立てば、と思い急ぎ会う事にした。


 幸い今俺達は国から調査機関が来るからと、一時別の場所で待機しているのだ。

 だからその場所へ連れてきてもらった。


 来たのは2人。

 1人は知らないが竹嶌さん・・・・いかん、一樹って言わないと怒られる・・・・慣れないからか竹嶌さんってつい言ってしまうんだよなあ・・・・一樹が知っていた。つまり一樹が所属する街のハンターギルドに所属するえらいさんだって事だ。

 もう1人は俺の知っている人だ。


 で、いつもは俺達より立場の2人だが、今や立場は逆転している訳で。

「岩ケ谷様、竹嶌様、ハンターギルドから来訪された2人をお連れしました。」

「ああ、ありがとう。中へ通してくれるかな。」

「はい、畏まりました。ではおふたり様、こちらへどうぞ。」

 そう言って2人の男が入ってきた。

 2人とも40半ばの壮年だ。

 場合によっては竹嶌さんの父親程の年齢だな。

 で、この場合どっちから話し始めたらいいのかわからないので俺が黙っていると、向こうから喋り始めてくれた。

「あー。岩ケ谷殿、そしてた、竹嶌殿、かなり情報が交雑していて、こうして事実はどうなっているのか確認に来たのですよ。」

「あー、はい、まだ色々と纏ってはいませんが、答えられる範囲で話しましょう・・・・北島局長でしたよね?」

「私の名前を覚えてくれていて嬉しいよ。で、どうなんだい?実際君達は元々ハンターとして活動していた。特に岩ケ谷殿は10年以上のキャリアを誇る、我が地域でもベテランの部類になっていたと認識しているし、そちらの女性、竹嶌殿で宜しかったかな?彼女はエースとして地域の大型生命体撲滅に尽力して下さったと認識しているが・・・・」

「一寸待って下さい・・・・」

 俺は外に待機している係の人から書類を受け取った。

「先ずはこちらにサインをお願いします。」

「これは?」

「実はもうすぐ国の機関から監査が来ます?査察だったかな?まあどっちでもいいのですが、彼等に先んじてこうしてお話しするというのは俺がハンターだったからであって、しかも後々ハンターの地位向上を図りたいと思っているからなんですよ。ですが下手に情報公開されると国中が混乱に陥るので、国からの指示がない限り情報を公開しないでほしいのです。」

「つ、つまりそこまで凄い情報という事ですか・・・・わかりました。」

 2人共書類に名前を書いた。

「で、何処から話せばいいのかわかりませんが、詳しい話は国の人が来てからにするとして、掻い摘んでいえば俺と竹・・・・一樹は確かに15歳で検査を受けた時、魔力が足りずハンターとなりましたが、今は保有魔力も膨大となり、スキルを所持する事に成功、つまりスキルホルダーとなったのは間違いないです。」


「「おお!」」

 2人は予めそう言った情報をキャッチしていたらしいが、事実かどうか半信半疑だったようで、かなり驚いたようだ。

「ではその、どうやってスキルホルダーになったのかはお教え願いますか?そもそももそのやり方でスキルホルダーになれるのはどの様な人々なのですかな?」

 もう1人の人がしゃべり始めた。

「その件ですが、まだ被験者が少なすぎて特定できません。一般者からスキルホルダーになれるかどうかはまだ試してすらいません。我々2人だけが先んじて、できるかどうか怪しげな方法を騙されたと思って試した結果、運よくスキルホルダーになった可能性もありますから、今後被験者を募り数をこなす必要があります。」

 たけし・・・・一樹が熱心に語り始める。

「あー。それは直ぐに集まるでしょう?」

 俺はそれを否定した。

「それですが、運よくスキルホルダーになれた場合はよいですが、万が一ハンターどまりだった場合どうなりますか?今まで普通に暮らしていた人々が、欲を出した結果ハンターとなってしまい、魔物と戦う必要性が出るんですよ。」

「そ、それは・・・・そうなのですか?」

「それも分かりません。実験は2人だけでしかやっていませんからね。」

 4人での話し合いが続いたが、結論が出る前に国の機関から人がやってきたようだ。

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