第31話 帯野さんの再検査
何だかんだで1週間が経った。
帯野さん対策で、俺と竹嶌さんは只管カードを用意した。
そしてそのカードで帯野さんが用意するカードを複製した。
結局【修復】よりも【複製】の方が楽だったからだ。
「岩ケ谷さん、竹嶌さん、ありがとうございます!カードを想定より沢山確保して頂けたので、僕も2人の行動を参考に、
「ああ成程、あの地味な作業は1人でやるより3人でやった方が捗りますからね。」
俺も1人でやっていたらどうだったか。竹嶌さんが一緒にやっていたから挫けず面倒がらずにやれた気がする。
それに本当にこんな事でスキルが発現するのか?と半信半疑だった事は否定できないし、これ無駄になるんじゃね?とか思っていたのは内緒だが、まあそれは帯野さんが最初にやった時にも思った事のようだし・・・・隠さなくてもいいのか?結果的には無駄ではなかったし。
「そうなんですよ!結果的には大成功!大成功なのですが、これどうやって発表すべきか悩むんですよね。」
何を危惧しているのかわからんではない。
これが世間に広がれば大騒ぎになるだろう。
だが発表するには試した人数が少なすぎるし、元々魔力持ちだったハンター2人とスキルホルダー3人だけではなあ。
「何となく言いたい事は分かりますが、まだ検証すべき課題は多いと思いますよ。たとえば俺と竹・・・・一樹はハンターだったので、ソコソコな量の魔力を元々持ち合わせていましたが、そうではない一般人の場合はどうなのか。スキルホルダーである帯野さん達は成功しましたが、他のスキルホルダーで成功するのかどうか。それは僕俺達ハンターも同様です。ハンターも同じ事をすればスキルホルダーになれるのかどうか。俺的にはハンターの地位向上が可能なのであれば積極的に試してほしいですが、これも色々な問題があるので、もう少し意見を聞いたりしたい所ではありますね。」
このまま盛大に発表すればどうなるのか想像もつかない。
もし俺達と同じ事をすればハンターが100%スキルホルダーになるとすれば、既存のスキルホルダーは、今までの特権が危うくなるだろう。
そして一般人がハンターになってしまう確率も上がる。これに関してはハンターになりたくないと実行しない人も多くなるだろう。だがハンターではなくスキルホルダーになれるとしたら?
俺は想像してみた。
一般人にしてみればスキルホルダーは雲の上の存在。
そしてスキルホルダーになれたとしたらその特権は計り知れない。
男にとっては夢のハーレムだし、金の心配もする必要もなくなる。
こ、これはまずいぞ。
まあ考えてなくもなかったが、も、もめる・・・・それも発表の仕方次第では日本中が大混乱だ。
しかも日本に留まらず全世界が。
そんな予感、いやそうなない、分かっていた事だ。
だが俺はこの時、既に事態は手遅れだった事に気が付いていなかった。
どうやって発表しようか、そう考えていたのだが帯野さんが俺と竹嶌さんのスキルホルダー登録をしていた、という事実を深く考えていなかったのだ。
正確にはパートナー登録だが、少なくともパートナー登録はどちらか一方がスキルほりだーでないとなれない仕組みなので、結果的にどちらかがスキルホルダーとなったという事が知れてしまう事になる。
つまり俺と竹嶌さんのどちらかが新たなスキルホルダーとなったというのは、登録してしまった以上、すぐに知れ渡る。
そして2人共、というのも分かってしまうだろう。
新たなスキルホルダーが2人、というのであればそんなに注目はされないだろうが、普通15歳で発見される事を考え、何故28歳と20歳が今頃?となるに違いない。
そうなると色々俺と竹嶌さんの出自を調べる事となり、そうすればすぐにハンターギルドに問い合わせが行き、俺がハンター歴10年、そして隣町で竹嶌さんはエースだったとばれるだろう。
スキルホルダーがハンターとして活動する事はあり得ない。
つまりハンターは沢山いるが、スキルホルダーは人数が少なすぎて貴重なのだ。
そんなスキルホルダーを大型生命体と戦わせるなど論外。
それが何故大型生命体と戦っていたのか?そしてどういう経緯でスキルホルダーとして再登録となったのか。
ヤバい、胃が痛くなってきた。
何故俺がこんなおもいをする必要があるのだろうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます