第30話 4つのスキルを持つという意味
俺が4枚のカードへスキルを抽入する事に成功し、引き続き竹嶌さんがやってくれた。
「俊也さん!一樹と呼んでって言ったはず!」
俺は美人に弱いらしい。いや、その前に大人の女性とはハンターとして活動する以外に接する機会なんてなかったから、単にコミュ障じゃね?と思わなくもないが・・・・まあ美人のご機嫌を損ねるのは悪手だ。
「わかった一樹さ「一樹で!」・・・・わかった一樹!」
「これでこそパートナーと言うものですよ俊也さん!」
・・・・何かに負けた気がしないでもないが、こういう負け方、嫌いじゃない。
「ではいきますよ!」
竹嶌さんは行ってしまった。
「その行ってじゃありません・・・・」
済まん、ついからかいたくなってしまった。
そして意味はあまりない。
つまり出来心だ。
「まあその、無理するんじゃないぞ。」
「分かっていますよ。では!」
今度は竹嶌さんがカードへ抽入する作業を開始した。
そして4枚成功した。
最初に試している分を含めこれで10枚。
ふと思った。
一度に何枚可能なのだろうか?
そう思ったがストップがかかった。
「お待ち下さい岩ケ谷様、竹嶌様。」
俺達を補佐してくれる女性職員から待ったがかかった。
「何か問題が?」
俺は回りくどい事は好きじゃない。だからストレートに聞いた。
「これ以上連続で作業を行いますと、魔力が枯渇してしまいます。」
そう言えば俺と竹嶌さんは、この手の知識が皆無だ。
「枯渇するとどうなる?」
「気を失ってしまいます。何度も繰り返すとどうなるかは分かりかねます。ただ、数時間経てばまた作業を行える程には回復すると思われますので、まずは自身の総魔力量、回復時間がどれ程か今一度確認した方が良いのではないかと判断いたしました。どうされますか?」
これは困った。スキルホルダーって確か1001以上魔力があるんだったよな。
何でってスキルをカードへ抽入するのに1000必要で、1000ではカードへ抽入したはいいが気を失い、場合によっては後遺症が残ってしまうか、若しくは死亡する。
ハンターの場合、カードを使用するのに100の魔力を消費するから最低101が必須。
こちらもスキルホルダー同様、100以下の魔力でカードを使えば気を失ってしまう。
戦闘中にそうなれば即ち死を意味するからな。
こんな感じで学んだ。
で、ここで俺は一つの仮説を立てた。
俺、最初に1枚カードへ抽入する作業を行い・・・・まあ、最初は必ず気を失うらしいが・・・・その後然程時間を空けずに4枚できた。
補佐してくれる女性も止めなかった。
つまり1時間程で1000回復した、と云う事か?
いや、そうじゃないな。仮に4999の魔力が俺にあれば、最初の1枚で消費した魔力が100として、残り3999だ。もし一時間で1000とか回復すれば、殆ど魔力を気にしなくて済む事になる。
まあ実際、数分で2ぐらいは回復するはずだ。
だから職員が提案してくれた総魔力量と回復速度は知っておくべきだな。
尤も大型生命体と戦うにあたり一度に40枚以上カードを消費する事はあり得ないが。
確か調べるのに相当金がかかるという事だったよなあ。
因みにスキルホルダーの平均回復量は1分で1程度らしい。
実質1日1枚しか注入作業ができない計算になる。
だが俺の場合はどうなんだ?
回復速度が爆速!とかそんなのは有り難いような気もするが、果たして急激な回復が身体にどう影響を与えるのかわからないから危険でもある。
そう思ったのだが、杞憂だった。
「こちらの装置で確認可能で御座います。少々お待ちを・・・・岩ケ谷様の総魔力量は凡そ4930、回復速度は1時間で概ね295で御座います。竹嶌様の総魔力量は凡そ4750、回復速度は1時間で概ね285で御座います。」
うん?なんか多いぞ。
1分で通常1じゃないのか?つまり1時間で60回復ってのが・・・・俺295?
竹嶌さんに関しても285とか、どうなってんだ。
つまり総魔力量が多くなればそれだけ時間当たり回復する数値も大きいって事か。
魔力1000あたり、1分で1回復なのだろうか。
回復速度が早いのか遅いのか、いまいちわからん。
だが言える事は、すっからかんになった魔力を満タンにするには17時間近くかかるって事だ。何故かこれは皆一緒だな。
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