スキルホルダー
第29話 ハンターの地位向上に何かできないだろうか
さて、こうして俺と竹嶌さんはハンターからスキルホルダーへとなった訳だが、これでおしまいとはいかないよなあ。
俺にとってスキルホルダーは雲の上と言うべき存在だった。
だが何故か俺が成るはずのないスキルホルダーとなってしまった。
しかし、これでいいのだろうか。
俺はこれで安泰、そして楽が出来るだろう。
だが今まで苦楽を共にしたハンター達の今後はどうだろう?
今まで同様、常に危険を伴いいつ死んでもおかしくない非常に危険な立場だ。それも男性は40歳になるまで引退できないという、、非常に理不尽な制度。
女性に関しても本来40歳までとしたいのだろうが、そうすると年齢的に子を成す事が難しくなる。そうした理由から女性は30歳で引退。
それでも15歳でハンターに選ばれ、実際18歳から大型生命体と戦う事を強制される訳だから、ハンターの地位は非常に低いと言わざるを得ない。
しかも生存率は悪い。非常に悪い。
男性が40歳で引退できる確率は1%以下と聞いている。女性はどうなのか知らないが、きっと20%以下だろう。
酷い話だ。
片やスキルホルダーは過剰と言えるほどの保護体制。そして金を惜しみなく注ぎ込んで至れり尽くせり状態。
何よりもスキルホルダーの生存を優先させる政策。
何せ数千人に1人と言われているから致し方ない部分は否定しないが、あまりにも優遇過ぎる。
かたやハンターと言えば人口の10%を占め、3000万の日本で300万人はいると思われる。
当然ながら使い捨てに近い状態だ。
俺が最後に戦った蛇を見ればわかる。
ハンターギルドには多数のハンターが登録されているが大型生命体と戦うにあたり、装備が充実しているとはとてもではないが肯定できず、そのせいで俺は命を落としかけた。
何せ大型生命体と言ってもその種類によって特性や弱点が違い、それに見合った装備で挑まないと仕留めるのは難しい。
あの蛇の場合、毒が厄介だった。
それなのにハンターギルドは防毒マスクをハンター全員分用意できなかったうえに、個人所有もあるはずなのに・・・・事実俺も自宅に置いてあったりする・・・・防毒マスクを持ち出す時間もなく、当然ながら事前に情報もなかった。
俺はこう言った理不尽を何とかしたかったが、今までそう言った機会に恵まれず、かつ時間もなかった。
だが今はどうだろう。
俺はどうやらスキルホルダーとして登録されたらしい。
では今後俺は搾取される側から搾取する側・・・・とまでは言わないがが、手厚く保護される立場となった訳だ。
しかも今だ且つて成しえなかったハンターからのスキルホルダーへの昇格?
俺がじっと動かず考え事をしていたのを、竹嶌さんは見守っていてくれていたようが、
「俊成さん、考え事かしら。」
そうだ、俺とほぼ同じ立場の竹嶌さんが傍にいる。
「ああ、俺達スキルホルダーになったんだなあ、と。そうなるとハンターギルドとの関係や、今後ハンター達の地位向上に何かできる事はないだろうか、とまあそんな事を考えていたんだよ。」
俺は先程まで考えていた事を竹嶌さんに伝えた。
竹嶌さんは暫く悩んでいるようだ。
そして、
「では今からハンターギルドへ向かいましょう。」
ハンターギルド、人によってはハンター協会と呼んでいるが、まあどっちでもいいだろう。
あれ?このまま学園を出ちゃっていいのだろか?
俺は入り口付近に待機している女性職員に確認してもらったが、あっさり否定、つまり却下だった。
そもそも今俺と竹嶌さんがここでこうしているのは、帯野さんのカード注入作業をどうにかごまかす為であり、それが終わっていないのにこのまま此処を移動する訳にはいかない、だそうだ。
まあそうなるよな。
じゃあ1週間分のカードを用意できれば?
俺は普通の人より魔力が多いと聞いている。普通のハンター、というべきか?
今回スキルホルダー、しかも複数のスキル持ちだ。
であれば総魔力量もかなり増えているのではなかろうか。
俺は無理を言ってもう一度カードの注入作業をやらせてもらった。
結果、連続4枚のカードへ抽入する事に成功した。
おお?これだったら行けるんじゃね?
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