第24話 約束の日・午後
昼を過ぎた。
現在12時過ぎ。
帯野さんが指定したリミットは13時。
まだ余裕はある。
だからと言って食事をしたりすれば、ついうっかり、という事もあり得るからこのまま先に検査を済ませてしまう方がいい。
俺は迷ったが、言葉にする前に目的の場所へ到着したようだ。
あれ?今更だが適性検査ってどうやったっけな・・・・
もう13年も前になるからなあ。
確か耳たぶに針を刺されて、その後どうしたっけ?
俺はついぶつくさ言っていたようだ。
「先生?適性検査は血液を採取し、後で結果を教えてもらう仕組みですよ?」
竹嶌さんが教えてくれた。
そうだっけ?もう俺には関わりのない事柄だからとすっかり忘れていた。
そうだった。確か大きな都市に設置されていて、地方に住む対象者は血液を採取し、設備の置いてある場所へ送られ、検査装置で血液を調べ適性が分かるんだとか。
だから1週間程度かかるって事だな。
で、検査自体は直ぐに済むらしく、今から俺と竹嶌さんはここスキル学校に設置してある検査装置で調べるそうな。だから結果もすぐわかる。
ただこの装置、かなり高価で全ての中学校に設置、という訳にはいかない。だからこうしてある程度の規模でないと設置できない。
尤もスキル学校は例外だ。国の最重要施設の一つに数えられているからな。
だから以前スキル学校に大型生命体が出現した時、夜中にもかかわらず俺達は強制的に迎撃させられた・・・・おっと今更だな。
「待っていたわ。今日検査を受けるのはこの2人?」
帯野さんに付き従っている職員だったな。名前は何だっけ?見た事あるんだけどなあ。
思い出した。
大抵2人の女性が傍に控えていたっけ。
養護教諭
さんだ。
目の前に居るのは藤記さんだ。
部屋の中に天樹先生がいるらしい。
「藤記さん、準備は?」
「勿論大丈夫よ?魔力を調べたいと申請を出しているし?」
そして遅れてやってきた2人の女性スキルホルダー。
帯野さんの恋人だっけ?
「遅れてごめんなさい!」
「しつこい奴がいて困っちゃったわ!」
どうやら帯野さん達3人が魔力測定を行う申請を出しているようだ。だが実際には俺と竹嶌さんを調べるという事だ。
「余計な邪魔が入る前にどうぞ。」
俺達は設備の設置している部屋に入った。
で、予想通り天樹先生が待機していて、色々な設備がある。
「天樹先生!お願いします。」
「血液を採取するには資格がいりますから、これぐらい容易いのよ。」
どうやら帯野さんは天樹先生に目がない様だ。
確か年上大好きと聞いた事がある。勿論帯野さんが年上の女性を、という意味だ。
「時間がありませんからすぐに始めましょう。」
俺と竹嶌さんは直ぐに採血をした。
2つの検体を・・・・検体だよな?藤記さんが受け取り、早速装置に投入していく。
何故か2台あり2台とも稼働だ。
いやそうじゃない。
5台あった。
5台あるとかどうすんだよ?もっと違う場所にも設置すればいいじゃないか?
そう思うも粛々と俺、そして竹嶌さんの検査が行われていく。
10分程で結果が分かり・・・・
そのままプリントアウトされるようだ。
確か俺の時って、
岩ケ谷 俊也
スキル適正 なし
と出ていた記憶が今更ながら蘇った。
で、今回。
岩ケ谷 俊也
スキル適正 あり
・・・・うへ?
俺は出力された用紙を見て、思わず言葉が漏れたようだ。
「うひゃ?」
竹嶌さんも同様に、可愛らしい声が漏れていた。
「ああ!やっぱりですか!おめでとうございます!!!!」
帯野さんは俺と竹嶌さんの結果を確認、早速そんな第一声が。
「あ、ありがとうございます?」
これはどうしたらいいのだろう。
こうなると言われていたし、そのつもりで色々行ったのだが、内心そうはならんだろう、という疑いの心があったのも事実だ。
そしてこの後、数分してもう1枚の紙が出力されたが、その結果に居合わせた全員が驚く事になる。
俺と竹嶌さん、双方の結果があまりにも衝撃的だったからだ。
「うわあ!想定以上の結果ですね!これは早速色々しないといけませんね!」
帯野さんは想定内だったのか?比較的冷静だった。
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