第23話 約束の日・午前
翌日、俺と竹嶌さんは再び模擬戦をしてた。
指定された場所には未だ帯野さんは現れていない。
まあ指定されているのは昼なんだけどな。
だからという訳ではないが、朝から竹嶌さんとデート・・・・だったらいいのだが、行っているのはお互い武器を持って本気で打ち合っているという、色気も何もない訓練だ。
しかも今まで使った事の無いような武器を使用していたりする。
危険じゃね?と思うかもしれないが、回復手段があるからぶっちゃけて言えば死にさえしなければ何とかなる。
うっかり腕の一本を切り落とされてもくっつく。
痛いからそういうのは必死になって避けているが。
「流石は先生ですね!どの武器もそつなく使いこなしていますね!素晴らしいです。」
竹嶌さんに褒められた。
だが全ての武器を竹嶌さんは俺より遥かに使いこなしているんだよなあ。
「そういう竹嶌さんの方こそ、俺より使いこなしているじゃないか。」
「そうですか?私は先生の真似をしているだけですよ?」
ここにきて新事実。
まさかの俺を真似ているとか。
だが変だな。俺はあそこまで良い動きをしていないはずだ。
あ、これはあれだな、お世辞だな。
そんな事を言い合いながら打ち合っていたが、お付きの女性達に止められてしまった。
「岩ケ谷様、竹嶌様、もうすぐ帯野様がお見えになりますので、そろそろ止めて頂きたいのです。」
「もうそんな時間か、ありがとう。そういう訳で竹嶌さん、そろそろ終わりにしよう。」
「はい先生!」
うーん、既に生徒と先生という関係でもないのだが、何故竹嶌さんは俺を先生と言い続けるのだろう。
そう疑問に思っていたので聞こうとしたところ、帯野さんが現れた。
「岩ケ谷さん、竹嶌さん、お待たせしてしまいました。」
かれこれ1週間ぶりだ。
スキルホルダーとなるとなかなか時間がないらしい。
「いえ、まだ時間はありますよ。それよりこれから何をするんですか?言われたノルマは終わっています。もしかして今から調べに行くのですか?」
確か1週間前にそんな事を言っていたはず。
「ええ、今からお2人には適性検査を受けて頂きます。」
今日はテンションが低いぞ?そもそも前回テンションが高かったのはたまたまか?
「あの、私達あれから色々しちゃったんだけど、大丈夫かしら?」
あ!そうだった。竹嶌さんが言う通り、あれから色々と・・・・そう、言われたノルマを思ったより早く終えたから、俺と竹嶌さんはお互いやっていた事をそれぞれ変更して、それも終わったから今度は模擬戦・・・・帯野さんに言われていた事以外にもしちゃったんだよなあ。
「え?具体的にはどんな事をしちゃったんですか?」
その後俺と竹嶌さんはありのままを伝えた。
帯野さんは驚いているが、別に駄目だった訳ではなさそうだ。
「あちゃあ、先にやっちゃいましたか。それは僕が試そうと思っていた事なんですよ。」
どういう事?
「それは僕と竹嶌さんが本来得るはずだった、つまり色々やっていた事に関係が?」
「もう今更なのでぶっちゃけますが・・・・説明していませんでしたか?僕の目的。まあなんといいますか、僕達スキルホルダーはカードへスキルを注入するのは決められたノルマがありまして、それは絶対回避できないんですよ。そこでお2人の出番です。僕が【抽入】したカードを【複製】、あるいは使用済みのカードを【修復】すれば僕はその分カードの注入作業をしなくて済む訳で。空いた時間で岩ケ谷さんと竹嶌さんが行った行動と同じ事を僕がするつもりだったんですよ。で、1000回達成後に僕自身が適性検査を受ければ、どうなるか・・・・予定ではスキルが増える事になっているのですけれどね。それに体に悪影響が出ないとも限らないので、先ずは僕が、と思っていたのですよ。」
どういう事だ?いまいち分かりにくいが、まさかと思うが俺と竹嶌さんには複数のスキルを得てしまう状況になってしまっている、という事なのだろうか。そして複数のスキルを得ると体に悪影響が?今の所問題なさそうだが、実際どうなんだろう。まあ検査をすればわかる事だな。
「まあその、色々してしまいましたが、帯野さんの思った結果が得られるかどうかは分かりませんが、その時は申し訳ない。」
「いえ、いいんです。ではついて来て下さい。」
帯野さんの案内で、俺と竹嶌さんは適性検査を受けられる部屋へ移動を開始した。
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