第11話

ミーちゃんはこっちだよ。


と言うように私の方を見たあと走り出した。


「準一さん!こっちです!」


「え?で、でもお墓はこっちに……」


「こっちです!ミーちゃんが案内しくれてます」


私は走り出すと準一さんが後を着いてきた。


「結奈ちゃん、ミーちゃんってあのミーの事言ってる?」


「はい、三毛猫のミーちゃんです。わけは後で話します。今は美琴ちゃんを見つけるのが優先です」


準一さんはなにか言いたそうにするが無視して私はミーちゃんの後を追った。


ミーちゃんは近くの公園を過ぎて奥の薮の方へと抜けていく。


「結奈ちゃん、本当にこっちに美琴がいるの?」


「でもミーちゃんが……」


ミーちゃんは薮の中に消えていった。


「こっちです!」


私は薮をかき分けて進んで行くと奥の方に子供が入れそうな空間があった。


美琴ちゃんはその中で倒れていた。


「美琴ちゃん!」


「美琴!」


駆け寄って抱き上げるが美琴ちゃんに反応がない。


「ミーちゃん、美琴ちゃんどうしたの?」


ミーちゃんはカリカリと爪で美琴ちゃんの腕をかくような仕草をした。


「意識が戻らない、すぐに病院に連れていこう!」


準一さんが美琴ちゃんを抱き上げると病院に走り出した。


美琴ちゃんはすぐに診察されたが問題は無いと判断された。


「じゃあなんで意識がもどないんですか?」


準一さんが医者に訴えるが医者も困り顔を浮かべて違う検査をしてみると言う。


美琴ちゃんは病室に運ばれて様々な検査を受けるがどこにも問題はなかった。


「どうしよう……美琴がこのままだったら」


準一さんは病院のベンチで頭を抱えていた。


「準一さん……」


私は準一さんに声をかけられずにいるとまたミーちゃんの声がした。


ミーちゃんは美琴ちゃんの病室にスっと入っていく。


私はその後をそっと追いかけた。


「ミーちゃん、美琴ちゃんはまた幽霊に取り憑かれたの?」


「にゃーん」


「私はどうすればいいの……美琴ちゃんとあんな喧嘩別れ嫌だよ」


ミーちゃんは相変わらず美琴ちゃんの手をカリカリしていた。


「美琴の手に何かあるの?」


私は美琴ちゃんの手を掴んだ。


美琴ちゃんの手はあの時のように冷たくなっていた。


「美琴ちゃん……」


私は美琴の手をぎゅっと握りしめた。


「ねぇミーちゃん、お願い美琴ちゃんを助けてあげて。ミーちゃんなら出来るんでしょ?」


私は目を覚まさない美琴ちゃんを見つめてミーちゃんに話しかける。


ミーちゃんはいいからやれとばかりににゃんと前足をあげた。


「わかってるよ……」


「結奈ちゃん、誰と話してるの?」


「じゅ、準一さん!」


すると後ろに準一さんが立っていた。


準一さんは私が病院に入るのをみて泣いてられないと後を追っていたみたいだ。


そして私が何もいない場所に話しかけながら美琴ちゃんの手を掴むのを見ていたらしい。


「そういえばさっきもミーの事を言っていたね。ミーは数年前に亡くなった猫なんだけどなんで知ってるの?美琴が悲しむからミーの物は置いてないはずなんだけど」


「準一さん……」


「結奈ちゃん、教えてくれ君には何が見えているんだ?それに美琴も関係しているの?」


準一さんの真剣な表情に誤魔化せないと私はずっと隠してきた事を話す事にした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る