19. お猫様増員

 ミアたちを保護してから五日が経過した。


 僕のことを神の使いだなんて勘違いしかけていたミアだけど、あれ以来そんなことを言い出すことはなくなった。まあ、僕とブランで散々悪口を言ったからね。分かってくれたんだと思う。


 ミアとルドとはかなり仲良くなれた気がする。やっぱり、食べ物の力は偉大だ。二人とも食事のときはニコニコだもの。食事を提供する僕の好感度も上昇しているに違いないね。


 二人は特にパンがお気に入りみたいだけど、甘いパンは一日一個までとした。糖分の取り過ぎは良くないからね。代わりに出しているサラダや唐揚げなんかも好評だ。育ち盛りだからか、よく食べる。釣られて僕も食べるから……わりと食料ポイントの消費が激しい。ユニットの維持コストも含めると30以上消費しちゃってる。


 とはいえ、二人が食料採取を手伝ってくれるようになったから、ポイントの獲得量も増えている。差し引きで考えるとプラスだね。やっぱり人手を増やすのは大事だ。


 ひぃすけたちには引き続き草刈りに専念してもらっていた。おかげで拠点周辺はかなり歩きやすくなったね。植物ポイントも増えて良い感じだ。まあ、植物ポイントは服やタオルに使っちゃうから、まだまだ欲しいところだけど。


 植物ポイントといえば、ちょっとした発見もあった。新たな服ではなく、今着ている服を修復するなんて使い方もできるらしい。損傷にもよるんだけど、ちょっとした解れ程度なら1ポイントで修復できちゃう。しかも、何がお得かというと、新品同様の状態で戻ってくるんだ。つまり、洗濯不要! 水が十分に確保できない現状では実にありがたい仕様だね。


 五日間の成果はこんな感じ。あまり大きな発見はなかった。まあ、ミアとルドが森での生活に慣れるのを優先したからね。安全が確保されている拠点周辺に留まってのだから、新しい発見がないのは仕方がない。


 とはいえ、そろそろ探索を再開したい。そうなると困るのが、護衛の少なさだ。

 今のところ、護衛ユニットはトラキチだけなんだよね。危険な探索に子供を連れて行くわけにもいかないけど、トラキチを僕の護衛から外すのは論外だ。となれば新しくユニットを作るしかない。ミアたちが協力してくれるおかげで食料ポイントには余裕ができてきた。ちょうど良いタイミングだろう。


 護衛ユニットを増やすことも考えたけど、ここは発想を変えて探索者を呼び出すことにする。僕らは拠点で整備しつつ、ユニットに探索を任せるという方針だ。そのほうが安全だし、バラバラに活動するよりはミアたちと仲良くなる機会も増えるだろうし。


 早速ユニットを生産しよう。洞穴の中は狭いから……出てすぐのところでいいか。


「さあ、二人とも。今から新しい仲間を呼び出すからね」

「仲間ですか……? もしかして、ひぃすけみたいな……?」

「本当? 僕、仲良くできるよ!」


 ミアは少し不思議そうな顔をしている。いきなり仲間を呼び出すといわれてもピンとはこないか。まあ、見て貰えばわかると思う。

 ルドの方は友達が増えると思っているのかニコニコと嬉しそうだ。やっぱり、小さな子の方が、適応が早いね。


「ひぃすけよりもトラキチの方に近いかな。でも、きっと仲良くできるよ」


 二人は僕が生み出したユニットたちと仲良くしている。特にひぃすけたちと仲がいいみたいだね。言葉もわからないはずなのに、仕事以外のときはよく一緒にいる。ちょっと苦手なのはライムかな。初対面のときに、トイレからニョっと現れて挨拶したものだから、二人とも酷く驚いていた。正直、僕もまだ朝の挨拶をされるときにびくっとしちゃう。


「じゃあ、ブラン。お願い」

『“気まぐれな探索者”、二体ですね。わかりました』


 ぼわんと煙が立つ。それが晴れたあとに現れたのは、以前予想した通り、猫のような存在だった。というより外見は猫そのもの。一匹は全身真っ黒で、もう一匹は茶色いトラ柄だ。


「可愛い……」

「わぁ!」


 引き寄せられるかのように、ミアがふらふらと近づいて黒猫を抱き上げる。それを真似するようにルドも茶トラの猫を抱き上げた。


「ふわふわですね!」

「可愛いね!」


 二人のナデナデ攻撃に二匹の猫は「ニャー」と答える。黒猫の方はクールな性格みたいで「これも仕事だ」って感じ。茶トラは愛嬌があるタイプだね。「そうでしょそうでしょ!」と言ってるみたい。同じユニットでも性格に違いがあるんだなぁ。


「まずは名前をつけないとね。黒猫の君は……キマにしよう! そして、茶トラの君がグレナね!」

「「ニャー!」」


 了解と答えるキマ、グレナ。名前についても不服はないようだ。素直ないい子たちで良かった。


 キマとグレナには早速、探索を開始してもらう。この拠点から少しずつ探索範囲を広げていってもらう形がいいかな。子供たちを保護しているから、まずは安全をしっかりと確保したい。


 あとは、ミアたちと出会ったあの場所は定期的に確認してもらおう。もしかしたら、誰かが迎えに来るかもしれない。まあ、ミアたち自身があまり気にかけていないから、望み薄なのかも知れないけどね……。


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異世界八日目朝

食料pt:154(キマ&グレナ召喚前)

木材pt:2.1

金属pt:1.5

土材pt:たくさん

薬効pt:11.2

植物pt:154.3

動物pt:90

マナpt:95

旧神pt:1


※細かいのは省略

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