第47話
「じゃあ簡単におさらいするわね!」
会議当日、俺達は身支度を整え会議室に再び集まっていた。
「バラット君とノールちゃんは私とキクリ様の護衛として同行してもらうわ。影虎の皆には昨日の時点ですでに会場に展開してもらってるわ」
そういえば昨日はティアさん達に会わなかったがそういうことだったのか。
「で、ミコちゃんをリーダーにいざという時のためにドロイドチームはいつでも発信できるようにスタンバイしててね」
「任せて」
「頑張ります!」
ミコもエミリアも万全のようだ。これなら任せても大丈夫だと思う。
「ワタシは護衛チームに同行いたします。情報処理システムをレミーア様の機体とリンクして両チームがスムーズに連携取れるようにいたします」
クーナがそう説明するとレイカさんが頷いて見せた。確かに人間サイズで高度な情報処理能力を持つクーナは一緒に来てもらった方が都合がいいのは確かだし、ドロイドチームにも情報処理の得意なレミィが居る。適切な人員配置で間違いない。
「一応周囲にドローンも展開して様子を見ていますがいざという時は戦闘よりも避難を優先してくださいね?」
「了解」
「お任せください!」
「では皆様、改めて、今日はよろしくお願いいたします」
最後にキクリ様が締めくくりミーティングは終了した。
「それじゃあ皆、作戦開始よ!」
護衛組で甲板にくると黒い車両が一台用意されていた。
「クラウンですか?」
「正解! しかも防弾の特別仕様~」
「誰が運転するんですか?」
「わ・た・し!」
レイカさんが自分が運転すると言い出した。なんとも言えない不安を感じるのは俺だけじゃないと思う!
「なにその顔?」
「いえ、運転できたんだなぁって……」
「失礼しちゃうわね! これでもトレーラーの運転もできるし技術には自信あるのよ?」
とりあえずお任せすることになるだろう。他にも二台ほどジープがありそちらは一般兵の方々が乗って前後で護衛してくれるみたいだ。
「じゃあ会場目指してしゅっぱ~つ」
「小娘、あまり調子に乗るんじゃないよ?」
「わかっておりますおばあ様っ!」
運転席にレイカさん、助手席に俺、キクリ様をノールとクーナが挟むという五人乗りで車は出発した。
「思ったより街、静かですね」
結構規制厳しいみたいよ。世界変動後初の首脳会議だからね、何処も敏感なのよ。
「そろそろ着くみたいよ」
車の中で俺は例のリボルバーに赤い弾丸を込めていく、多分これを使う時真っ先に撃つとしたらこいつだと思うから。会場に入ると警備の兵達の誘導を受けて駐車場を進んでいき、指定された場所に三台並べて停止させた。
「んっ……」
背中を伸ばしながら周囲を見ると不気味なくらい静かだった。嵐の前の静けさとは言うけどちょっと不気味な静けさだった。
「会場に向かいましょう。周囲警戒一応お願いします」
護衛の兵士達に指示をしながらキクリ様とレイカさんを連れて会場内へと進んでいった。なんだかんだ俺の方が軍でいう階級が上らしく嫌でも指示だしを促されたり強いられる場面がちょこちょこあるのは不便だ。てか柄じゃないよ、ほんとに。
「ここはお城なのでしょうか? 姫様の護衛でついて行った以来です」
「ここは国が用意した会議会場ですよ、確かに結構お金かかってそうですけど」
絨毯が敷かれてもふ、もふ、というなんとも言えない感触が足の裏から感じられる。こんな会場作る余裕あるなら民間人の援助にまわせばいいのに、そう思いつつ国としての他国への威厳、メンツというのもあるのだろう。
「着きました、どうぞ着席ください」
館内に入ってから道案内をしていた係員が示すそこはまさに円卓という感じの会場だった。キクリ様が指定席に着席すぐ後ろにレイカさんが補佐として着席、俺達は少し後方で目立たないように待機となる。長くなりそうだし椅子ぐらい欲しかったなぁ……
「新鮮?」
「はい、私が居た世界では赤や青に派手な宝石や装飾品で着飾って威厳を見せつけるのですが、ここに居る人たちはみな多少の色味は違いますが同じような衣装です」
「あれはこっちの世界で、何か行事があったりするとよく着る正装だよ」
「なるほどぉ……」
ノールの居た世界とは文明が恐らく違うだろうしこっちの常識は新鮮な出来事なのは確かだと思う。ちなみにキクリ様は着物姿に杖、雑面で角を上手く隠している。目立ってると言えば目立ってるけど。
「これから話すだろう内容は詰まらないだろうけどね」
「それはどの世界も共通ですよ」
あははと俺とノールは苦笑いをしていた。実際この会議の目的は世界全土で協力してこの困難を乗り切りましょうというというテーマだとは思うがどうなることか……
「そろそろ始まるよ」
「はい」
首相が集まりいよいよ会議が始まる。正直あまり興味はないけど、実りのあることを祈りますよと……
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