第31話 告白
「お待たせっ!」
駅前のガードレールに寄りかかっていると、横から疲れた様子の
「おう。疲れてるみたいだけど、もしかして走ってきたのか?」
「うん!
「……そっか。ありがとうな」
「いえいえ。で、何か用? もしかして今から一緒にご飯行くとか?」
「それもありだけど……少し歩こうか」
実莉は可愛らしい笑顔で首を縦に振り、歩き出した俺の横に並ぶ。
それからしばらく歩き、駅の近くにある少し大きめで周りが草木で覆われている公園に入った。
「え、公園?」
「ああ、ベンチに座って少し話さないか?」
「いいけど……」
なんで公園? と言いたげな顔で首を傾げる実莉。
ここの公園はベンチしかないが故に、夕方でも訪れる人が少ないのが特徴だ。
たまにサッカーやドッジボールで遊んでいる子どもたちや、散歩をしている老人が見られるが今日は誰もいない。
「ふぅ……」
俺たちは少し間隔を空けてベンチに座った。
まだ恋人同士ではない。だから、敢えて間隔を空けたのだ。
「あ、飛鳥馬くん……そういえば
この約二週間、実莉が明沙陽の家に行くと言っても俺は止め続けた。
俺と明沙陽で。二人きりで喋りたかったからだ。
一応一日ごとに何があったかとかは報告していたが、今日のことはまだ報告していない。
実莉としても、幼馴染である明沙陽のことは心配なのだろう。明沙陽のことはどうでもいいと言っていたが、たった一人の幼馴染だ。あんな感じになってしまえば、心配にならないわけがない。
だからいつも、こうして明沙陽のことを聞いてくるのは実莉からだ。
「今日はちゃんと話せたよ」
「……ほんと!?」
「うん。なんとか仲直りもできた」
「よかった……」
実莉はホッと胸を撫で下ろした。俺もやっと安心した実莉の顔を見ると、自然と頬が緩んでしまう。
あの日からずっとどこか表情が暗かったもんな……。本当によかった。
「なぁ、実莉」
俺は隣に座っている女子の名前を呼ぶ。
そして、太ももの上に置かれている手を掴んだ。
「……なに? 飛鳥馬くん」
すると実莉は嫌がる素振りを一切見せず、にこりと笑って目を合わせてくる。
俺は一度息を吐き、深呼吸をした。答えが分かっているとしても、やはり緊張はするものだ。
これからするのは告白。
相手への恋愛感情を伝え、相手の気持ちを確認し、その後の関係性の希望を伝え、相手の意思を確認するもの。
既に一度気持ちは伝え、今回は改めての告白となる。
二週間も待たせてしまったのは申し訳ないが、今日ようやく俺たちの関係が変わることになるだろう。
「前に告白してくれて、ありがとうな。あの日から実莉のことが頭から離れなくて、一緒に過ごしているうちに俺はお前をいつの間にか好きになってた」
実莉を待っている間、ずっと考えていたことを順番に並べていく。そして最後にお決まりの言葉を紡ぐ前に、掴んでいた実莉の手を離さないようにギュッと握りしめた。
もう絶対に離さない。
何があってもこの手を離すことはない。
絶対に幸せにしてみせる。
そんな決意を胸に、俺はゆっくりと言葉を紡いだ。
「だから俺と、付き合ってほしい」
俺の言葉を聞いた実莉は、頬だけでなく耳まで真っ赤にした。そして俺の手を強く握り返し、今まで見せた中で一番可愛い笑顔を見せる。
「うん、私も好きだよ。これからよろしくね、飛鳥馬くん」
この日、俺たちの関係は晴れて
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