第52話 最大の少子化対策は「共通の価値観」です。

 ここまでいろいろ考えてきたことを一旦まとめると、少子化対策で一番効果があるのは、子供を持つことが最大の幸せである、という価値観を共有することだと思います。


 人間は承認を欲しています。そしてその承認の内容については、時代と地域の価値観です。現在は宗教もお上も世間も消失してしまい、ポピュリズム的に怠惰こそ最大の幸福という価値観に向かいつつあると思います。

 ルサンチマンというか「だってしょうがないじゃん」マインドで、お互いを慰め合いながら低きに流れている状態です。末人というやつですね。


 結果として、自分に甘くなるとお金も時間も他人=子供のために使いたくなくなっています。これは経済の問題でなく、それが幸せだという共通認識の問題でしょう。結婚制度や未婚の子云々の話は置いて置いて、子供を産むことが人生の最大の幸せである、という言説を政府や知識人はそういう発信をしましょう。ドラマ・映画・小説・アニメ・マンガ等々で描いて行きましょう。


 幸せの定義は、安楽・安寧ではありません。むしろ逆だということです。子供のために時間と手間と金と頭を使う。そして家族を大きくする。

 旅行に行ったり、友達と飲んだり、SNSで時間をつぶしたり、ブランドものを持ち歩いたり、ちょっと東京に近いちょっと広い家に住む。そういう目の前の人生にとっては価値がないのに価値があるように見せられているものを、幸せだと思うから子供を持たないのです。

 これらの価値に基づく他人比較で幸福を図ります。が、自分よりも金持ちなんて普通の人は程度の差はあれ、知り合いや隣近所だけで半数以上はそうでしょう。この構図で幸せなどあるわけがないです。


 少子化の最大の要因はそれをバカバカしいと思うような価値観です。それは戦後の経済成長、アメリカの表面だけの価値観の輸入、バブルと崩壊、SNS、競わない教育や表面上の平等主義。宗教基盤のない個人主義。公共の福祉の矮小化、人間とはなにか?という疑問を持たずに、ただただ民主主義・資本主義という檻の中で、経済だけ追い求めてきた結果でしょう。


 神はいないしあの世などありません。つまり人生はやり直しはきかないのです。だから現世で楽しく暮らしたいというのだという考えは、高齢になればお金を稼げなければ、不幸が約束されます。


 まずは子供を産み育てる努力をしましょう。その遺伝子はいつか人類は滅びるにせよ、残る可能性を残したわけです。つまり、地球に生命が誕生してからつながっている命のバトンを渡す責任を果たしたわけです。生物としてそこに幸せを感じるように脳は進化しているはずです。また、子供の存在は親にとっては最大の「承認」です。


 もし、子供が授からないなら、他人の為に何かをしましょう。もちろん子供を授かっていてもやりましょう。そうすると少しの善意が社会全体に生きた痕跡となって残るはずです。その善意で命をつないだ個人がいるでしょう。それが人間として生まれてきた意味であり、子供がいない方が幸せだということはありえません。


 子供を沢山産み育ててあなたは最高の人生だね、という共通認識を若い世代に持たせることです。まず、人間は平等じゃない、だけど、誰でも子供は埋めるんだよというところからスタートでしょう。


 病気や事故などで産めない人はもちろんいます。そう言う人は変わりに育児に参加してもらいましょう。それも育ての親としてたたえましょう。

 でも、高齢になって産めない人に同情する必要はありません。それは安寧に流れた結果だからです。人生は一度。その一度で子供を作らないという選択肢は、この世が終わるまで解消されることはありません。


 これは思想教育ではありません。差別でも多様化の否定でもないです。生物として人間として当たり前のところに立ち戻りましょうと言っているだけです。

 平等などありえません。生まれながらにして皆違うのです。それなのに幸せを金で買えとマスメディアやSNSに洗脳されるから、幸せのイメージが貧困になってかえって幸せになれないのです。









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