第45話 子供を持たない方が幸せというのはウソです。

 子供を産まなくて幸せでした。子供を産んで幸せでした。どちらも論理的に言えばウソというか比較はできないというのは考えればわかると思います。


 子供を持たない人生も、子供を持つ人生もその人の個人的な体験です。経験論的な意見で言えば絶対にバイアスがかかると思います。そのバイアスとは、自分は不幸だと思いたくない、という事でしょう。


 また、他人との比較でも同様にバイアスがかかります。自分は正しかった。そりゃあそうですよね。産んでしまえば後戻りはできないし、産まなくなる年齢が来れば同様に後戻りはできません。自分が間違いでないという理屈を持たないと精神的にきついでしょう。その点で自分自身を見つめられる人はかなり精神的にタフだと思います。


 幸せとは何かという定義によって論理的に導けるという意見はもちろんあるでしょうけど、やはり幸せと言う感情は論理ではないです。資本主義的な幸せ=贅沢と安寧は青天井の浪費でしかありません。何かを成し遂げられたから結果的に良かったというのも、子供を持つことと実は因果関係はほぼ無いでしょう。子供を持っても何かを成し遂げられる人の方が多いと思います。

 まあ、ブッダはラーフラとか言って、自分の子供を邪魔にしましたが、それは幸福論ではないですし、ブッダの人生が幸福だったかはよく考える必要があるでしょう。


 また、子供を所有物だと考える親になると、子供がどういう子供かで左右されると思います。そこは哲学的な話になるかもしれませんが、たとえ短命だとしても、障害があっても、経済的に不自由したとしても、犯罪者であったとしても、新しい命をこの世に生み出したという事実が残る方が人生において後悔がない気がします。


 持った方が100%幸せかどうかは保証できませんが、とにかく「持たない方が幸せ」という比較論の意見は論理的にも人間の心理的にもほぼ100%信頼がおけない、つまりウソだということは覚えておいたほうがいいと思います。




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