第28話 社外取締役という短期視点の現況

 会社法で上場企業は社外取締役を置かなければなりません。社外取締役の役割はコーポレートガバナンスです。いろいろ定義はあると思いますが、社外取締役の大きな役割に企業業績の管理監督があります。


 当たり前の話ですが、企業の決算は1年単位です。その数字について社外取締役は予算あるいは公表利益に到達するかどうかをモニタリングし、行かない場合は対処方法などの策定を執行側に求めたりします。


 そういう役割から言って、どうも社外取締役というのは短期的な視点になり勝ちです。長期間業績がいいとか、シェアが高くて経営が安定しているのなら、社外取締役も長期ビジョンを共有できるでしょう。ですが、目の前の利益が出ない場合は来月の業績回復について取締役会で常勤の役員たちを叱咤します。


 内部の役員だけなら経営判断に関して、中長期的な投資や人材育成、企業イメージのコストは経営に必要なものとして、多少業績に影響があって計画の達成に懸念があっても優先順位を高めるでしょう。

 ですが、社外取締役からすれば利益が去年を割っていれば、そういうところからのカットを社外取締役は求めたりします。当然、環境なんかも同じですね。


 そう言っておきながら逆説的ですけどSDGSとかコンプラとかばかりに注目しすぎて、グレーゾーンがもてないという現実もあります。業績も約束通り企業イメージもパーフェクトに。正論だけに始末に負えません。


 節税のための計画赤字など今は昔。株価のために社外取締役の追及は厳しいのでしょう。


 日本の多くの企業が短期的視点しか持てなくなっている気がします。ワンマン社長の英断で無駄と思える遊びなどをするのも難しくなっているでしょう。ですが、そういう遊びがモノ作りには大事な気がします。スティーブジョブズが失敗が8割などと言っていることを考えると、本当は適切に失敗を管理するのが大切なんですけど。


 企業の社風というのは良くも悪くも時代を作ります。そういう短期的な企業のマインドがサラリーマンに波及していないでしょうか?目の前の利益は度外視して、次世代のための企業の役割を考えるような経営者を排除する社員取締役制度…な気がします。


 どこか子供を作るのは経済的に負担になるという今の風潮に似ている気がします。







 

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