第13話 高層ビルに住むと流産しやすい?

 マンションの6階以上に住むと流産する確率が増加するという統計データがあります。「住居環境の妊婦に及ぼす健康影響について」という報告で検索すればすぐに出てきます。それによると通常の流産の確率は6~9%、6階以上の場合は44%になるというものです。


 たしかに高層ビルは耐震構造でユルユルと揺れてますし、気圧が低くなりますので何らかの影響があると考えるのは自然な気がします。それに生活していて地面が見えなくなるのが、ビルの高さによりますけど5階か6階あたりですから本来地面に暮らす人間としては、精神の安定などに影響があるのかもしれません。


 と、短絡的に考えていいかどうかは、論文を読んでみるといいでしょう。実際の統計データ付きですから信ぴょう性がなくはないですが、追随する研究が少ないので、人気があるテーマではなさそうです。


 イギリスでは妊婦は高層ビルの4階以上に住むことが禁じられているという法律があるというのは、法律も論文も見つかりませんでした。これを言い出したのが、上に挙げた論文を書いた人なので、どうなんでしょうね?トンデモ学説な可能性もあります。最早都市伝説化してしまっています。


 もともと景観を欧州の人は気にするし、高い建物に住むのは貧乏人的な発想がある感じなので、高層住宅自体が2000年くらいまでロンドンは少なかったらしいですね。何かの記述を誤解した可能性はあります。


 ただ、心臓疾患のリスクなどは実際に統計的にあるようです。また、高層ビルは子どもが段差のない生活をしているので転びやすくなるとか、外出の機会が減りコミュニケーション能力が落ちるなどという統計もあります。


 ただ、感覚的ですが高層ビルって共働きのイメージですよね。世帯年収1500万から2000万円くらいの。ストレスが多い、運動不足の不健康な生活、そして子供を持とうと思わないのかもしれません。また、流産率もそういう高層ビルとは違うストレスの可能性もあります。相関関係と因果関係は別ですからよくわかりません。


「高層居住に対する批判の 論拠」という論文もありました。「高層マンション居住の小児の発達 健康への影響に関する文献」というまとめもありましたので、確認するといいと思います。


 ただ、これが事実なら兆単位で不動産価格が下落する気もするので、あまり積極的に公的機関が調査する気にはならないでしょうねえ。

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