第17話 職業に貴賤があるから成り立つ共働き社会

 共働きの時に保育園に子供を預けます。で、考えて見ましょう。保育士さんの給料の水準です。共働きカップルよりもかなり低い気がしますが、どうでしょう?ネットでざっと調べると300万円程度みたいです。


 これって、奴隷労働を想起させませんか?上場企業に働いて夫婦2人で働いて年収800万円づつ貰っているパワーカップルの労働の前提が年収300万円の低年収の労働で支えられています。これは共働き社会を低賃金労働者が支える分断の構造を助長することになります。


 以前南北問題といわれた発展途上国の低賃金労働に支えられた先進国の生活を思い出します。フェアトレードなど今でも大きな問題になっています。


 高い給料をもらえる仕事につけない保育士さんが悪いのでしょうか?じゃあ、全員が保育士なんて割に合わない。やーめたと言って全員が辞めたら共働き社会は成り立たなくなります。

 そして、その肉体や精神的にきつい仕事につきたがらない人が増えているし、保育園や介護施設での虐待やネグレクトを見る限り、現実にその仕事が成立しなくなる可能性があります。


 少なくとも現状では保育士さん、看護士さん、介護士さんなどの中で、低賃金でも質の高い労働をしてくれている人の資質としてホスピタリティがあると思います。そして、それは古き良き時代の社会によって醸成されたホスピタリティの残滓であり、今後は高いコストを払わないと成り手がいなくなるし質が下がるでしょう。


 食品、小売り、外食、交通、運輸など低賃金が支えてきた日本です。共働きが増えればコストを上げないと質は確保できないし、少子高齢化で人材は枯渇しています。そういう肉体を酷使しつつも使命感が必要な職業の人々が、アメリカや欧州なみの低意識のホスピタリティになるのはそう先の話ではありません。

 現に介護しせつや保育園の虐待の原因はこの労働の質を担保できないからでしょう。


 そうなってきたときあらゆる仕事が高コスト化して、何のために共働きしているのかわからなくなるんじゃないでしょうか?全員が忙しいだけで豊かさを感じないのはなぜかを考えるヒントになる気がします。


 保育士さん…シンギュラリティが一番解決できない部分でしょう。職業としてもっと報酬を上げないと保育士さんのなり手は減る一方でしょうね。ですが、高コスト化すれば、共働きだけして子供を作らないのが「豊かで幸せな生活」となる気がします。


 少子化対策で公的な資金を使うなら、1か所目はここでしょうね。もっと沢山ありますけど、子供を持っている家庭への直接給付が最悪でしょう。






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