インタビュー

ーーお風呂アイス選手権、出場選手・水見みすみ 佳苗かなえの風呂は速い。


「オフシーズンは、シャワーのみで済ませています」


ーー入浴時間は?


「3分……それを切れるように目指していますね」


ーーそれで疲れは取れますか?


「いや、取れないですね。なので、1週間に1度はトリートメントをしたり、ゆっくりシャワーを浴びる日を作っています」


ーー芳田よしだ選手の引退について思うことは?


「ひとつの時代が終わった、と……感じましたね。

 この競技は、女性のプレイヤーが少ないので、頑張ろうって声を掛け合いながらやってきたんですが……残念です」


ーー残念というのは?


茉里まりちゃ……ゴホンッ、芳田選手はまだ27歳、でしたよね。まだまだ引退するには早い年齢なので」


ーー芳田選手の最後の試合について。


「盲点でしたね。今まで、大会では誰も、入浴剤を使うといったことがなかったので」


ーーそれはなぜでしょうか?


「香りのキツい入浴剤だと、アイスの味を損なうとされてきたんですね。でも、芳田選手はアイスの味を活かすために入浴剤を使っていました。爽やかアップルの香りの入浴剤……私はあの香りを生涯忘れることがないと思います」


ーー今後のお風呂アイス選手権について。


「今後、入浴剤を使った新たなスタイルが出てくると思います。芳田選手は自身のバニラアイスをより美味しく、高級に見せるために使っていましたが……入浴剤によって相手のアイスの味を損なう……そうゆう戦い方もできるな、と」


ーー水見選手は語る、芳田選手の残したものは大きい、と。


「彼女の残したものは今後の、大会を変えるでしょう」


ーーそして、新たな選手の台頭。


小館こだて選手ですか? 彼、とても尖った試合をしますね。私はああいう戦い方は好きじゃないんですが、次の時代を担うのは彼のような選手なんだと思います」


ーー遠く、空の彼方を見つめる水見選手は険しい顔をして、そう話してくれた。

  最後に、出産を控えている芳田選手にメッセージをお願いします。


「え? 茉里ちゃん、子供産むんですか?」


ーーご存知ありませんでしたか?


「え? え? 知らない、知らない! 本当に?」


ーー……はい。


「ちょっと、電話かけてきていいですか?」


ーーそう言って、水見選手は長い髪を靡かせて、スマホを片手に店の外に出ていった。

  今後のお風呂アイス選手権では、どのような戦いが繰り広げられるのか、果たして、水見選手の予想した入浴剤を駆使した戦いは行われるのか。

  水見選手からは、来年のお風呂アイス選手権がとても楽しみなるお話が聞けました。

  次回は、お風呂アイス選手権と肩を並べる、冬の風物詩・お風呂みかん交流会の記事になります。お楽しみに!

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激湯!お風呂アイス選手権!! とらとら @toratora___

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