第18話 UNKNOWN(正体不明機)③

 ただ、名前を呼ばれただけ。

 それだけで横っ面を殴られたような、そんな衝撃を受けた。

 自分の名前など、この世界では後頭部にいる総合管制AIであるD.E.ディー・イーしかしらない秘密だ。

 もしかして彼が【アトランティス】と繋がっているのか?

 そんな突拍子もない陰謀論さえ浮かぶ。

 だが、そうではないとしたならば。

 奴らは本当に自分を探していたことになる。

 自分を、今言った『運命核ディスティニー・コア』なるものをおびき寄せるためにあの巨大なエイをこちらに向かわせたとしたならば、なんとなく辻褄は合う。

 やはりこの世界は、モニカが主軸の世界では無い。

 自分こそが主軸の世界なのだ。

 この事態を収束に向かわせるもの、特に際立って活躍したものを端からつぶしていくことで彼らの目標を達成するため――


「姐さん! お願いだ起きて下さい!」


 悲鳴のような声が聞こえて、ハッとする。

 目の前のモニターは全てブラックアウトしていた。

 慌てて操縦桿を握り直し、シートに深く座る。

 こんな異常事態にも関わらず、瞑想じみた接続ができるのはやはり自分に宿ったチートのお陰なのだろう。


「再接続開始……リンク!」


 ふわりと、一瞬浮遊感のようなものを感じる。

 魂が少し出ている、とD.E.ディー・イーは言っていたが、それは一瞬死んでいるようなものなのではないかと戯れたことを思ってしまう。

 多分これは自分の逃避だ。

 現実逃避のために、思考を加速させ、肥大させる。

 それが嫌だから何事も俯瞰的にみて、クールな見た目なのに大胆と言われるほどに手を動かしてきた。


【再接続】


 ブワッと、メインモニターの視界が広がる。


「げ!」


 目の前には肉薄するブラックレディ・ファントムの姿。

 その肩のプラズマレーザーの砲塔は、思いっきりコクピットに向けられている。

 ギュアアアアア!

 プラズマレーザーの再チャージが始まった。

 

『アリア!』

「無礼者!」


 本当はファッキンビッチとか、もっと汚い言葉だったのに。

 自動変換される言葉がこんなにも鬱陶しいだなんて。

 アリアは左の操縦桿をえぐるようにして押し込み、ねじるようにして倒す。

 すると何も装備していない左腕が、脇の下から斜め上に跳ねのけるように動く。

 鋼鉄の貴婦人のビンタが、長いプラズマレーザーの砲塔をしたたかに叩く。


 バチン!


 跳ねのけられた砲塔が【ダイナミックエントリー】の右肩あたりまで跳ね上がる。

 やがてプラズマレーザーが発射されると同時に、アリア機のサブスラスターが点火。

 【ダイナミックエントリー】がくるりと横回転すると、背に極太のプラズマレーザーが通過する。


「このゴキブリ!」


 ぐるんと振り返って、ガトリング砲を向ける。

 見ると、必殺の間合いで外したのがショックだと言わんばかりに固まるブラックレディ・ファントムがいる。

 躊躇なくトリガーを引く。

 

 ブァアアアアアアアアアアア!


 ガトリング砲がありったけの対GL徹甲弾ハートノッカーをバラ撒く。

 一歩遅れて避けたブラックレディ・ファントム。

 その凶悪な砲塔に弾丸がめり込み、誘爆。

 即座に切り離そうとしていたが、爆発が激しく右腕ごと吹っ飛んでいた。

 まるでドレスのストールのように両腕が無くなったブラックレディ・ファントム。腕も武器も失ったなら、戦う事はできないはずだ。


『逆転だアリア! けど、油断しないで。まだ何かあるかもしれない!』

『アリア様!』


 コール音が響き渡る。ウィンドウが出現すると、そこには必死な顔のアリシア。

 そして続々と、先ほど退避していったお嬢様たちの顔が浮かぶ。


『私も戦います! アリア様だけ傷つくなんてそんなの嫌です!』


 私も、我も、拙者もとさらに友軍反応が増えていく。

 お互いにバチバチなお嬢様たちがこんなにも集まるとは。

 こんなことはゲームに無かった。今はこの状況に甘えるしかない。

 目の前のゴキブリ野郎はゲーム上ここで逃げるが、もしかしたら本当に隠し玉を持っているかもしれない。

 ならば自分のガトリング砲で追い込んで、ここに集まったお嬢様たちでタコ殴りにする。

 よし決めた。

 とりまぶっ倒す!


『ガガガ……流石、は。貴様さまさま様は、この世界の異分子。ああああるいは黒点のようななな存在いいい』

『オープンチャンネルで……あの機体から声がする。しゃべれるのか!? 人が乗っているはずがない。生体反応がまるでないんだぞ』

【……ウチらと同じようながする。教授、あれはウチらとご同類じゃないっスかね】

『AIって言いたいのか。けれどわかる気がする。あの島には、機械しかいない。そういう知的存在がいても不思議じゃない』


 サムが真っ青な顔でコンソールを叩いている。

 アリアの長つば帽子レーダーを介して、目の前の敵を丸裸にしようとしているようだ。

 だが各種サーチを行っても、これ以上の情報は得られない。

 

『ようようようようこそ交戦領域ダンスホールへ。我々ハ、お嬢様を歓迎するするするるるる』

「我々、ですって」

『ままままたまたた会おう会いましょう【黒いお嬢様ブラックレディ】。いいえ、おおおおお姉さま』


 ドヒュン、と。

 いきなりブラックレディ・ファントムのメインブースターが点火する。

 そのまま一気に加速すると、一目散に【アトランティス】の方角へ飛んで行ってしまった。

 ガトリング砲を向ける間もない、実に思い切った逃走だった。

 やがてほかのお嬢様たちが到着して、呆然とするアリア機を護るように囲む。


【敵影なし。メインシステム、通常モードに移行します。お疲れ様でした……】

 

 ぐったりしたような声が響き渡る。

 流石のD.E.ディー・イーも疲れたようだ。

 彼はとにかく死にたくないといって、自分より必死になっている。

 生きている自分より、機械の方が生々しいなどとは。


「姐さん!」


 再び、コクピットのスピーカーでなく背後から声がした。

 少し怒気が籠もっている。


「し、死ぬところでした! 姐さんは見えてなかったでしょうけどね! あのゴキブリ野郎に砲塔向けられた時はウチも気絶しそうになりましたよ!」

「ごめんなさい」


 アリアからは素直な、そして絞り出したような謝罪の言葉が出た。

 もう少し言い合いになるかと思っていたボール型の相棒は、主が思いもよらず沈んでいるのを感じ取り「あ、いや、すんません……」と静かになる。

 しばらくの沈黙。

 サムは何か言おうとしていたが、黙ってカタカタとコンソールを叩いている。

 おそらくは、いろいろなところから問い合わせが来ているのだろう。

 謎の巨大兵器に、プラズマレーザーまで覆い隠すステルス装備をした、所属不明機。

 そしてわざわざオープンチャンネルで無線に載せた、【黒いお嬢様ブラックレディ】という言葉。

 これはこの世界において半ば伝説で語られる存在。

 それを、【アトランティス】所属のGLがアリアに向かってそう呼んだのだ。

 波乱の予感がする。

 自分の知らないルートに、完全に突入してしまった。

 モニカとは仲良くなった。

 何故か難易度の高い小鳥遊姉妹との縁もできてしまった。

 そして、互いにケンカし合うはずのお嬢様たちが生き残り、中には好意を寄せてくる者もいる。

 戦力的なことを見れば、これ以上なく潤沢に思える。

 だが、避けていたはずの事が起きた。

 自分は眺めるはずだったのに、完全に当事者になってしまった。

 どうすればいい。

 何をすれば生き残る?

 死亡フラグはどこにある?

 そもそも機体を破壊されたモニカとサンディは大丈夫だろうか。

 考えがまとまらず、シートに埋もれるようにして座るアリア。

 やがて各勢力の増援が到着。荒れに荒れた海域は、今や人類史上稀に見る戦力が集まってきた。

 それと入れ替わるようにして、お嬢様たちが帰っていく。

 皆アリアに称賛を送ってきた。モニカも遠隔で、興奮気味に褒めてくれる。

 だが、今のアリアには何も残らなかった。それどころではない。頭が混乱して、何が何だかわからないのだ。

 自動操縦でサムの待つGL輸送船【ヒポグリフ】に到着するしばらくの間、アリアは呆然とメインモニターに映る海と、そして空を眺めていた。



 ■■■



 数日後、学園の寮。

 アリアの部屋。


「姐さん、アレからすげー恋文届くんすけど」

「全部捨てておしまいなさい」

「いやぁ、そういうわけにはいかないっスよ。あと半分くらいはモニカ嬢っス」

「……あの子、ますます依存症になってませんこと?」


 ふよふよと部屋に浮かぶボール型の相棒、D.E.ディー・イーが虚空にホログラフウィンドウを表示させる。

 既に三ケタ台に突入している未開封メールに、アリアはげんなりしていた。

 真っ赤な革のソファーにだらしなく突っ伏して寝そべるアリア。

 高級ホテルかと思わんばかりの瀟洒な部屋には下着が脱ぎ散らかし放題。

 お菓子は至る所に散乱の上にm高そうなガラステーブルの上にはなんと缶ビールとあたりめがあった。姿は可憐な美少女なのに、今ある光景は土曜日の深夜のサラリーマンのそれである。

 暇だから部屋に来たというD.E.ディー・イーすらも「汚っ」と引くレベルだった。


 現在、アリアは休暇中である。

 

 あれだけ大立ち回りをしたからか、学園はアリアの休暇申請を認め、数日間の休日を与えるに至る。

 サンディの配信動画やその実績から、今やアリアは時の人。それ故に様々な依頼が舞い込んだようだが、サムのところを通る前に学園が全て止めた。学園が与える休日とは、そういう事である。

 アリアはここぞとばかりにだらけ放題になった。

 身に着けているのは黒基調のパーカー。もこもこ素材のルームウェアであった。

 ジャージにしようかと思ったのだが、さすがに前の人格はそういうのを着なかったらしい。

 私服のどれもこれもがセレブが着るようなドレスで、ギリギリ局部が隠れているけれどほぼシースルーみたいなものが多く辟易していた。こんなの露出狂やないかい。

 色々探してみた結果、開封もされていないルームウェアを見つけてきてみると、これがちょうどいいいふわもこ。上質な素材が使われていて、さすると気持ちいい。もうこれで出撃できないかな、と思うほどである。


「ニンゲンってこんな感じで休息するんすね。ウチも格納庫を散らかしてみたら面白いっスかね」

「真似するモンじゃあありませんことよ。そんなことしたら、輸送機を研究室にしてるサムが飛んできますわ」

「あー、あの人めっちゃ綺麗好きっスからね。性格が出てるっスねー」


 ふよ~っと近づいてきて、ドスン、と背中に落ちてくるD.E.ディー・イー。コロコロと背中を転がると、ちょうどいい場所を見つけたのか「ふい~」と一息ついていた。


「ちょっと。主の背中に乗るなんてどういう神経していらっしゃる?」

「いつもウチに乗ってるんだからお相子っスよ」

「どういう理論でそうなるのかしら」

「甘えてるんス。わかってください」

「はぁ……」

「死ぬかと思った、が記憶ストレージにこびりついてましてね。姐さんと一緒にいると忘れられるかなーって」

 

 コロコロと再び背筋を転がるD.E.ディー・イー。なんだか痛気持ちいい感じがして、アリアもまんざらではなかった。

 

「で、どうするんスか。英雄になっちまいましたけど」

「わたくしは英雄などではありませんわ」

「でも世間様はそうじゃあないっスよ。ほら」


 ピッ、と勝手にテレビを移すD.E.ディー・イー

 どの局も、どの勢力の報道もだいたいあの巨大なエイと、アリアがお嬢様たちを率いて戦う姿。サンディの配信動画の切り抜きらしい。

 そしてこんな世界でもワイドショーがあり、どこもアリアについてああでもないこうでもないという、どーでもいい特集を組んでいる。

 お嬢様は世間一般に知られた存在ではあるが、その希少性のために生い立ちやらなにやら全て非公開にはなっている。

 だからこそ、こういうしょ~~~~~~もない芸能人憶測大会みたいな番組にはいいネタになるようだ。

 

 曰く、絶世の美女。

 曰く、お嬢様界きっての革命児。

 曰く、三大勢力にノーといえる超戦力。

 そして曰く、伝説の【黒いお嬢様ブラックレディ】の再来。


「はぁ。問題児とガチャガチャ言ってたのは何なのかしらね。D.E.ディー・イー、消して」

「うス」


 あ~~~も~~~とソファーに顔をうずめるアリア。

 確かにこれでは英雄ではないと言ってもどうにもならない。

 本来これは、モニカが受けるべき賞賛のはずなのだ。

 ゲームでも、ここまで大々的には書かれていなかったがモニカは一躍人気となり、【アトランティス】からの脅威に世界がさらされる度にその名を呼ばれるようになる。

 が、今は自分である。

 かったりー。

 自分は何とかしてモニカに英雄の座を渡して、遠くから眺める立場で、あとは好き放題にやるつもりだったのに。

 まるっと全部、主人公が受けるべきものを受けている。

 これで【アトランティス】攻略だのなんだのに組み込まれたなら命がいくつあってもたりない。

 あの巨大なエイからわかるとおり、特攻ドローンは絶対に一人では太刀打ちできない。そんなのが今後、島からワラワラと出てくると思うと寒気がする。

 そう思うと、あの時、ショックすぎて一時的に接続が切れて無防備になったことが本当に悔やまれる。

 あそこでガトリング砲を打ちまくり、ハチの巣にしていればまた変わったはずだ。


「悔やんでも仕方ないっスよ姐さん」

「貴方、とうとう心を読むようになったのかしら?」

「同期してると表情の機微ってのがわかってきますんで」

「貴方も死ぬ目にあうのですわよ?」

「しゃあないじゃないっすか。次の手ってか、何か起きたら対処するしかないんすよ? もう姐さんのそのなんだ、予知っていうか、先の事を知ってるなんたらがパーになったんすから」

 ぐぅの音も出ない正論である。

 そうやって何でも論破してくるやつきらい。

 でもまあ、それしかないよなーと思うと、悲しくなってきたのでまた突っ伏した。


 ジリリリリリリ……


 アナログなベルの音。に、ノックの音。

 コンコンコンと規則正しい、バカに几帳面な叩き方。

 多分サムなのだろうな、と思い「どーぞ」と答える。


「アリア入るよ……あー、これは、ひどい」


 ドアの方をチラリとみると、やはりサムだった。

 今日は燕尾服の上に白衣を着ている。授業でもあったのだろうか。

 というか、乙女の部屋の中を見て「これはひどい」はなかなかの御挨拶である。

 年頃の少女なら「キャー! サムのえっち!」みたく落ちている下着でも投げるだろうが、残念ながら中身はOLである。しかもこういうのに抵抗がない類だ。

 そしてサムはと言うと、バイトではあるが執事オペレーターであり執事バトラーの仕事もある程度こなす上に、アリアを女ではなく手のかかる姪っ子くらいに見ているようで、何の抵抗もなくこの有様の部屋にズケズケと入ってくるのである。


D.E.ディー・イー。君もなんか言ったらどうだい」

「やー、無理っスね」

「AIが簡単に諦めるなよ……」

「それで、どうしたんですの乙女の部屋に入って」

「缶ビールにあたりめがある時点で乙女もクソもないけど……ああよかったノンアルだね。いやダメだけど。こんなの見たら、モニカ嬢幻滅するよ?」

「それはそれで正気に戻りそうですけれど。で、仕事ですの?」

「いや、招集」

「欠席致します」

「そうはいかない。学園長に呼ばれている」


 ヴェー、と思わず変な声を上げるアリア。

 それが面白かったのか、D.E.ディー・イーがコロコロと背中を転がっている。


「こないだのことなら、さんざん報告したではございませんか。もうわたくしに言うことはありませんことよ」

「雰囲気的にそんな感じじゃないんだよね。なんだろう、立ち会って感じ?」

「立ち会い?」

「まだオフレコなんだけどさ……どうやら三大勢力、今回の一件で手を組むらしいのさ」


 ああそれ知ってる。

 なんて言えたら楽なのになとアリアは思う。

 あの巨大なエイを倒したあとに起こるのは、三大勢力の一時停戦と、【アトランティス開拓委員会】の立ち上げである。

 また新たに勢力が増えて、ここからゲームはいよいよ【アトランティス】へ乗り込んで、様々な無人機と戦うことになるのだ。

 で、それだけで終わるわけもなく。

 ストーリーによっては、三大勢力共同出資したはずの【委員会】がいきなり独立したり、反開拓を掲げたGLの組合などが乱立したりする。

 そうではなくても、プレイヤーが加担した勢力の比率から【委員会】の特色がその勢力の色に塗られて、それを指摘され監査の際に逆ギレした【委員会】そのものが勢力の傀儡、もっと悪い場合はテロ組織になるなどなど。

 まあようするに、新たな火種である。

 ただ不思議なのは、何故サムがそれをアリアに伝えてきたか、だ。


「三大勢力は君に非常に興味を持っているみたいだ。だから、手を組む際に君にいてほしいと。調印式はアトランティスの防衛ラインギリギリで行われるから、その護衛を含めて、旗手になってほしいだってさ」

「何を言うかと思えばパレードの先頭に立てと、そうおっしゃる?」

「そう言うなって。もう調印式の段取りは着々と進められているみたいだ。君の返事一つで次のフェーズに進む。そういう段になっている」

「こっちの都合ガン無視ですのね。これだから三大勢力は」

「その代わり、三大勢力は君に極秘情報を流してくれるそうだよ」


 思わせぶりな言い方をすると、サムは抱えていたファイルを渡してくる。

 何かと思えば、この世界ではもう珍しい紙の書類。

 デジタル化が完全に完了しているこの世界において、紙の記録媒体はハッキングも改ざんの恐れもない最高のセキュリティだ、とのこと。

 わからんでもないが写真を撮られたら終わりなのでは?

 と、思いつつもそのファイルを手に取り、中身を見る。


「……? 何ですのこれ? わたくしの写真?」

「いいや。これはつい最近、【アトランティス】から傍受した信号を解析した結果さ」

「はい? 信号?」

「ああそうだ。信号だ。どうも無人機達が会話のように何かをやり取りしているらしくてね。その研究と観測が進められていたのだけれど、最近になってやたらとこの画像がサルベージできるようになったみたいだ」


 それが、これだというのか。

 なんだかネットにご尊顔がバレて拡散された気持ちだ。

 もしかしたらあの戦いの時に無線通信を傍受されて、解析されたのかもしれない。アリアはガックリと肩を落とした。

 もう一度写真を見てみる。たしかにアリアの顔だ。

 しかしなんだろう。

 どこか、こう、なんというか。

 慈愛に満ちているというのは変だろうか。

 別に手をいれられているとか、インスタに上がっている自撮りの九割がスノーを使って加工されているとかそういうのではなく。

 こうあってほしい。こう微笑んでほしい。

 そんな感情が、垣間見えるような?

 

「アリア。落ち着いて聞いてくれ。【アトランティス】は、どうやら君をしているようなんだ。数ヶ月前ほどから、突然ね」


 ――それは。

 自分が、異世界転生した時期では?



■■■



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