鈍器Hotel

リスポンはいつものように果実を採取していた。

果実は蝋燭の原料となる。

蝋燭は母ウエッティの祖先から受け継ぐ、職人の家系であった。

「お!リスポン、今日も熱心だねぇ。ウェッティは元気かな」


島の亜人種地区長、きのこ採り職人のサー。

サーはリスポンの父マーと親友関係である。

そのマーが行方不明になった時からサーは、ウェッティとリスポンの母娘を見守っていた。


マーがいなくなったのは、あのペンギンの使者がやってきた日であった。

わたしは国の使いの者とペンギンは名乗る。

「戦士マーよ。そなたへ国選討伐の任が命されたペン」 


国選討伐とは、国が選抜したパーティにて、ダンジョン攻略や魔物を倒す公式任命である。

この選抜に選ばれミッションを攻略すると

褒章が与えられ、国選戦士のライセンスが発行される。綬の色は(赤 橙 黄 緑 蒼 紺 紫)となる色に上下はないが性質的に赤が行動的、紫が知的と呼ばれ、戦士は赤の褒章を与えられる事が何よりの名誉であった。


マーの祖先は歴代戦士族であった。古代の魔界大戦にて勇者パーティにて戦った伝説の戦士ドクである。


サーはおめでとうと言い、ウェッティ達の事は2、3日見てるから大丈夫とマーの背中を押した。

「鈍器Hotelにてだペン」

赤い帽子をかぶったペンギンはそう言い、マーを連れて行った。

鈍器HotelとはDBエレクトリックカンパニー社が

最近建てたショッピングHotelである。

武器防具のみならず、日用品魔法具、食品、宿泊や式場や会議室。


なんでも揃って便利なHotel♪であった。



そして、その日以来マーは姿を消した。


サーやウエッティが国に問い合わせても、そんな事実は無いと返答された。


サーは古びた剣を研いでいた。その窓越しから見えるのは高くそびえる鈍器Hotelである。

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屁理屈と悪ノリとイタズラのみで世界は救えるものなのか? 森禮 @moreyokohama

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