首都が最も栄えてるのって東京くらいな気がする

 ソリノコ市を後にして、馬車鉄道で首都ソリキッタへと向かう。

 三匹が引いてるリアカーは大きくて入らなかったので後日貨物輸送で輸送されるそうだ。大豆小豆の荷台はは軽トラくらいはあるし、ぽちの荷台は二トントラックくらいの大きさがあるもんなあ……。


 そんなことを考えていると


「次はシュッテンソリキッタ!ソリッタでぇす。おおりのみさまはあしぃもとにごちゅいすぃてオオリクダサイ!!」


 こんな声が飛び込んできた。

 おーこれは電車の車掌言葉じゃ無いか! あれ独特で本当に聞き取れなくて不明だよねえー! 今回も何言ってるのかわかんないや!


 降りよう降りよう、とにかく下車。人混みに流されるように降りる。

 後方からこれまたサイズが大きすぎて入らなかったぽちが追いついたのを見て一安心。ぽちならお散歩程度の運動なのはわかってるけどさ。


「いやーしっかし変態多いっすねー鉄道って。お尻何度触られたことか」

「サキ美人だもんねえ。私は一度触られたけど手を握りつぶしたらそれ以降はなくなったよ」

「ご主人様は強いからいーんですよ。わたくしは雑魚雑魚なんで。小豆様が私の背後を取って唸ってくれたのでそれ以降は大丈夫でしたが。ありがとうございます小豆様」

「わふ」


 どうだ良かっただろう、といわんばかりにサキの前でお座りする小豆。

 足で首をかいている。あれをご所望のようだ。


「い、いや、まだわたくし本能的恐怖に打ち勝てなくて……」

「わん」

「ひぃ! や、やりますよう(なみだぽろぽろ)」


 サキが涙を流し始めた辺りで人だかりができる。この子美人過ぎて何しても話題にしちゃうわね。


「なんだなんだ、喧嘩か?」

「いや、オオカミに怯えている羊の女の子がいるみたいだ」

「おいおい、犬の主は何やってるんだ?」


 人混みがやいやい言い始める。おまえらなぁ……。


「ガヤがうるさいわね! これはわたくしと小豆様の友情の証に挑戦しているのよ! ふざけた妄想しないでくれる!」


 スンっとなる周辺。

 そして、えいっ! という感じで抱きつこうとして、前のめりで倒れるサキ。心は挑戦できたが体が追いつかなかったか。これはビターン! と倒れるな。

 と思ったら小豆がひょいっと体の下に入って支える。サキの目の前に肉食動物の顔が写る。硬直するサキ。心臓がどっくんどっくんいって失神寸前なのがわかる。今日はこの辺かな。


「……ずきさま。小豆様、きょ、きょうはありがとうござびばびだ」


 サキは小豆の首に手をかけ、失神しながらお礼を言うのであった。

 一歩前進かな。


「ようしぽち、咆哮でガヤを追い払ってー! 大豆はサキを乗せて駅舎から離れましょ。ここはヒゲソリ騎兵隊の本部と宿舎それに訓練場があるからそこにお世話になりましょう」


 大豆に鞍を取り付けてサキをのせて、小豆にはおやつのご飯をたんまりと与えて、と、テキパキとことを進め、ヒゲソリ騎兵隊の本部へ。

 行く途中チラリと首都の様子を見ることができたけど、ソリノコ市のほうが都市としての規模は大きかった感じがする。

 人々のグレードはこっちの方が上かな? 官僚とか事務員とか、頭脳労働やってそうに見える。

 商業都市と行政都市で分かれている感じだね。


「やあ、よく来てくれた。君がモナカ君とぽちで、その一行だね」

「はい、部隊長トテモスゴイ・ヒゲソリ・がおー閣下。この度はヒゲソリ騎兵隊への加入と武者修行への許可、誠にありがとうございます」


 トテモスゴイ閣下は白獅子族の大きな男性だった。ライオンのひげが綺麗に輝いていて、ヒゲソリ騎兵隊隊長って感じがスゴイする。ひげがあるのに。ヒゲソリなのに。


「礼はよい。ここに数年滞在するんだろう? 存分に訓練して強くなってくれ。それで」

「はい」

「魔族がいるようだけど、真名は獲得しているのかな?」


 場が急に凍えるように寒くなった、気がする。


「……わたくしはただのメイドでございます」

「わかるんですか」

「わからない人物がヒゲソリ騎兵隊の部隊長を務めるわけにはいかんよ。サキュバスで淫らな行為を宿舎内に広めないでくれよ」

「お言葉ですが、サキュバスの性は癒やしにも使えます。メイドには存分に癒やしの力を兵舎の中で使ってもらいます」


「ふ、そうか」といってトテモスゴイ閣下はその場をあとにするのであった。


 事務員に連れて行かれて私の部屋まで案内してもらった。


「部屋というか、コテージみたいな感じだね」

「身の回りのことは自分で行えという感じなんでしょうか」


 はいはい、と事務員が答える


「はいはい、基本的な食材は食べたい時に本部まで来て持ち帰ってください。全て未加工品です。隊員それぞれが工夫して食べるようなシステムです」

「非常時に料理人なんて側にいないから、常に自分で食えるようにしておけよってことか。なるほどなあ」


 他に武具の補修も自分で行うなど、細かいことも教えてもらった。

 ヒゲソリ男爵領最高級の武具師が集まるので、オーダーメイドするならここが一番良いとのこと。

 ま、取り替えちゃったものはあるのでそれらはスルーして、武器の棒だけオーダーメイドしよっかな。


 よーし、修行頑張るぞぉー!

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