弐の四
ブラックハウスに来てからは朝が早かった。
必ずみんなで朝起きて、みんなで朝ご飯を食べる。
これがブラックハウスの唯一のルール。
理由はアインツ曰く「朝ご飯は一日の始まり。一日の始まりは家族で過ごすものなのよ。」だそうだ。
ブラックハウスにいる人数は大体三十人程。
そのほぼ全員が両親や家族を失い、身寄りがない。
だがツヴァイは溶け込めなかった。
信用できなかったのだ。
大した利益もなく親切にするアインツがツヴァイには理解できなかった。
ツヴァイは引っ張られるから仕方なく朝ご飯は食べていたが、すぐに食事を終え夜中まで外にいた。
(どうせアイツも何か企んでるんだろ………。)
アインツはどうにかツヴァイと会話しようとするが、ツヴァイはすぐに姿を消す。
寝床がないから夜中には戻ってくるが朝ご飯を食べたらすぐに院を出てしまう。
「ツヴァイ……!今日も遅いの………?」
「…………あんたにはカンケーねぇよ。」
ツヴァイは振り向くことなくドアを閉める。
「俺が居たって…………寧ろ邪魔なだけだろ。」
あんな言い方をしたのだ。もうほっとかれるだろう。
院から出されるかもしれない。
だがこれでいい。
「俺は一人だ。」
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