壱と零

 銃声は確かに鳴り響いた。

だがまだ息がある。

ウノは目を開けた。

「…………なんだ?これは?」

目の前では不思議なことが起きていた。

無数に打ち込まれた銃弾。それが宙に浮いているのだ。

静止した状態で。

ウノを追いかけていたゴム星人も身体を動かせないでいるようだ。

「一体なにが………?」

「あんたがウノ・トラファール?」

 ウノは声の主の方へ勢いよく振り向く。

そこには黒いコートを着た黒髪の、日本人の少年が立っていた。

少年は右手を銃弾に、左手をゴム星人に向けている。

「俺は雨霧零。ある男の依頼であんたに選択肢を持ってきた。」

「選択肢………?」

零が右手をひねると銃弾はゆっくりとウノとは反対の向きに変わっていく。

「ここでコイツラに殺されるか…………俺と共に来て、このクソッタレの世界に大きな変化を与えるか。」

ウノは息を呑んだ。

「どうする?ウノ・トラファール。」

零は静かにウノを見る。少年とは思えない座った眼で。

ウノはなぜかーーーーー…………。

心躍っていた。


 二人は出会う。

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