壱の章
壱の一
時は少し進み、イタリア、ローマの郊外。
芸術の街は宇宙にも通用したらしくこの街は今も綺麗なまま残っている。
そこを駆け抜ける一つの風。
地球人の出せる限界を遥かに超える速度。
いや、きっと異星人でもここまで速く走れる者は少ないだろう。
事実、その速度は追い回すゴム星人を置き去りにして走り続ける。
超速で走る地球人の男。その名はウノ・トラファール。
元地球軍の准将までたどり着いた男だ。
そんな男の罪は重い。
だがしかし、罪を犯さなければならなかった。
今走っているのは罰からの逃走ではない。
今抱いているのは後悔ではない。
あるのはただ、怒りのみ。
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