第12話

何かに引っ掛かり、絡まるブルー。暴れるブルー。酔いに酔いながらもカズトはブルーを苦しめる物を見た。


「こ、これ網じゃねえか、漁網か?」


カズトの目に移ったのは頑丈そうな網の一部だった。


「カズトォたすけてぇ!絡まって動けなくなった!」


散々暴れたブルーの体には網が絡まって身動きが取れなくなっていた。どこかで見たような恰好で絡まって動けなくなっていた。ああ、そうだ自由の女神か。なんとも自由ではないな。


「困った。」


「カズト~!!」


ブルーは涙目に叫んだ。


さてさて、どうしたものか。って、あれ。引っ張られてねえ?動けないはずのブルーが動いている。引っ張られている。沖から岸へ。捨てられたものだと解釈していた網は漁網として使われていたのか。


「ひ、引っ張られる~!!カズト~~!!」


「うおおおおおおお!!?」


引く力がどんどん強くなっていく。水面も同時に近づいている。いや俺たちが海面に引き寄せられているのか。勢いが止まらない。今日初めて漁される魚の気持ちになったわ。超だるい。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る