第11話

ブルーは俺を自分の胸の谷間に入れて、本気で泳ぎ出した。早い早い。なんでこんなに速いのだろうか。そっか人魚だからか。ってか速すぎて水流で吹き飛ばされそう。てか苦しい。こんなに幸せなシチュエーションなのに。満喫できない。


「ちょっだけ、我慢してね"1時間"ぐらいで着くから」


1時間!?死ぬ死ぬ死ぬ。この状態を1時間なんて呼吸不全でお亡くなりになられるわ。ちょっと休憩入れないと体がもたない。


「ちょっと、休憩が欲しいんだけど!!」


「え?聞こえないよ!」


いや、しっかり声出してるけど、嫌がらせかな。


カズトの声がブルーの泳ぐ水の音に負けてしまう。


「休憩が欲しいんだけど!!」


「え?だから聞こえないってば!?―――キャアアア!!!?」


突然ブルーの身動きが取れなくなった。カズトに気を取られ前方に注意がそれた瞬間、何かに捕まった。いや、何かに引っかかった。


「ちょっ、なにこれ、取れない!!えーん。誰かたすけてぇ!!絡まって気持ち悪い!!」


「おい、暴れるな。う、気持ち悪い」


気が動転して暴れるブルー。暴れるブルーの胸の谷間で酔うカズト。事態は悪化するばかりだ。

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