第45話

買ったものを車に載せて霊斗が助手席に座るのを待ち発進させる

次に向かうのは家電量販店だ



「いやぁ、この車にして正解だな」


「欲を言えばもっと大きい車が良かったがな。乾燥機のるんかこれ」


「乗せるんだよ!」


「物理を守れ!」



夜斗といえども、東京で家電量販店に踏み込む勇気はない

そのため少し遠いが埼玉まで移動する。そこには巨大な家電量販店の集合体が存在する

ここにいけば9割の家電が手に入るのだ

むしろないものを探す方が難しい



(ここに来るのもn回目か。ただしnは50以上最小の素数)


(とか思ってんだろうなめんどくせぇ…)


「よし霊斗、乾燥機とはどんなスペックを求めている?」


「速さ」


「じゃあゼカマシのS-01ZEだな。売り場は確か7階のエスカレーター降りて右35度直線くらいだったはずだ」


「覚えてんのかよ。でなに?その聞き覚えのある名前をしたメーカー」


「ゼカマシのことか?これはあらゆる早さを追求するという企業理念を抱えてありとあらゆる家電を作っている会社だ。値段は多少張るが、心からオススメする」


「他には何があんの?」


「グリル、電子レンジ、掃除機、チューナーレステレビ、ラジカセ、エレベーター」


「エレベーター!?」


「この前世界最速を更新してたな。重力の倍の速度で動くんだが、中の人はかなりしんどくてな。シートベルトの着用をしないと怪我人が出る」


「早さの追求も行き過ぎたら殺人兵器だな」



尚、乾燥機の隣にエレベーターの模型が置かれていた



夜斗に言われるがままに乾燥機を購入し、台車でガラガラと運ぶ霊斗

駐車場には大型家電を車に乗せるため、専用のリフトが存在する

それを使って積み込むと、ぴったりフィットという奇跡か起きた



「ギリギリ、だな…」


「さすがゼカマシ、素晴らしいサイズ感だ。ちなみに我が家の家電の半数はゼカマシだったりする」


「マジかよ」


「マジだよ。ちなみにパソコンCPUとクーラーも作ってて、ベンチマークが2秒で終わるくらい早いし、100℃から25℃まで8秒。ただしどっちも数百万円」


「強すぎる」



そんな話をしてから買ったものについての意見交換が行われた



「雪菜用のクリスマスはテキトーに密林で輸入するとして、誕生日だな。ニキシー管置き時計」


「需要どこ?」


「俺」


「基準が一般からかけ離れてるな」



密林というのは通販サイトの俗称だ

正式名称は―――(自己規制)



「お前雪菜の誕生日なんだっけ?」


「結局服にした。ワンピース」


「ウィーアー!!」


「やめろ消される」


「なぜワンピース?」


「ユキが持ってないからな。黒系にしようと思ったけど白にした」


「黒でかつお前と並ぶと葬式感凄まじいな」


「だからやめたんだよ。お前はユキのクリスマスなに買うんだ?」


「まだ決めてない。水電池は流石にやめたけど、ネタガジェとして有名な腕輪型GPSロガーにしようかな」


「何する気だお前。ユキのストーカーにでもなるのか?」


「いや多分つけられるのお前だし、購入者が設定したパスワード使わないと外せない」


「お前の一存で俺の自由が消える!?」


「ちなみに記録媒体は専用端末で操作すると取り出せる」


「…一応聞きたいんだけどこの商品の目的は?」


「浮気防止」


「だろうな!!」



ちなみに夜斗は本当にこれを買った

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