第44話

澪に相談しながら店内を回っていると、夜斗が好ましく思う服がようやく見つかった



「なになに?サンタコス?」


「それは持ってるぞ弥生。つかこの店にねぇし」


「系列の店にはあるよ?この上の階だけど」


「なんであるんだよ需要どこだよ」


「この時期になると毎年100は売れるかな。多ければ200とか」


「わっかんねぇなぁ、流行りってのは」



夜斗は流行りに疎い

しかしそれを抜きにしても、その趣味は分からなかった

毎年100以上売れるということは大多数の東京都住みの若い女が持っていることになりそうだがあえて突っ込むのをやめる



「じゃあどうするのさ」


「これにすっかな、と」


「…露出高いじゃん。まぁ平均よりは低いけど」


「ワイシャツ風の服とミニスカ。似合う」


「だろうけど…どーせ夜斗が嫉妬するんでしょ!」


「いっそ周りに見せつけるのもありかな、と。可愛い嫁を娶った我にひれ伏すがいい。頭を垂れるというのなら我が嫁の素肌を見やる許可を与えよう」


「うわサイテー」


「うわ傷つく」



そう言いながらも会計に向かう夜斗

実はニーハイソックスもかごに入れてるため、見える素肌は少なめだ



(よし、俺の趣味を11割反映したぞ)


(1割どこから来たんだよ)


(こいつ脳内に直接…!?)


「はい夜斗、38580円。まぁ35000でいいよ」


「マジで?やったぜ。値札切っといて、あと包装して」


「はいはい。あ、夜斗に買ってほしいものがあるの。店として」


「負けてくれた分買ってやるよ」


「男に二言は?」


「ない」


「言質取ったからねー」



包装を待つ間、澪に連れられてきたのは…ランジェリーショップだ



(どっかで見たぞこの展開…)


「で買ってほしいのは在庫処分品なんだよね。1500円まで値引きしたのに買ってくれなくてさー」


「どんなやつなんだ?」


「えーと、たしかこのワゴンに入れたような…あったあった」



澪が引っ張り出してきたのは、たしかに下着ではある

ただし隠すべき場所の面積が異常に少なく、ワンタッチで外せるように構成されたものだ



「…おい」


「これは夜戦(意味深)用なんだよね。まぁ女の子が男を誘惑するようにって作ったの。最初こそ元値が7800円とかでも飛ぶように売れたんだけど、買うのは男ばっかでさ。しかも最後一つ残して売れなくなっちゃって」


「フラレただろその男たち。そらそうだわこんなの着ろって言われたらキレるわ」


「お、韻を踏んだね」


「本職に謝れ。つかこれ買うの?俺」


「うん。さっき聞いたでしょ?男に二言はないって」


「ぐぬぬ…。そ、そもそも弥生のサイズかどうかは…!…一致してる」


「ハイお買い上げー。あとはネグリジェ買ってくれたらちょうど値引き分かな。これも安くしたけど買ってくれなくてね」


「どうせ全身透けてるとかそんなんだろ」


「正解!」


「なんでだよ!」



澪が持ってきたのは紫色のネグリジェだ

見事に全てが透けているのだが絶妙な透け具合で中が気になりやすい



「買ってよ!あわよくば弥生さんに着せてみて!」


「買うのはいいが着せれんわ!どんな顔して渡すんだよこれ!?」


「笑えばいいと思うよ」


「やかましいわ!」



結局購入した

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