第19話 夢から醒めて

「タツガシラ白十字騎士団、コウ・カマタだ。『半世紀の魔女』、お前を討伐しに来た」


 ナギがアズの手を取り、その深い悲しみを分かち合おうとしたその時。突如、工場の窓を突き破って転がり込んできた何者か。

 コウと名乗ったその男は、見てくれだけは普通の黒髪の少年のようで、身に付けた黒い神父服キャソックが無ければただの迷子と見紛うだろう。

 しかし、ナギとステラ、そしてアズでさえもその服装に見覚えがあった。アズが見せた五十年前の記憶——封印の直前に見た者達と同じ姿だ。二人はアズの険しそうな表情とコウの『討伐』という台詞から確信を得る。


「アズちゃん、これは……」

「『ガシラ』……五十年前に私を封印した組織だわ。まさか、復活を予知されていたなんて……」

「有害な魔女は即刻排除するようにとセラフィリア魔術教院が定めている。半世紀の魔女アズ、起き抜けで済まないがここで始末させてもらおう」


 コウは衣服に付着したガラス片を払いながら、アズの下に近付いた。体躯に似合わないほどの大剣をすらりと抜くと、それを彼女に突き付ける。

 彼が灯りの下に立った時、その端正な顔立ちがよく見えた。目は切れ長で凛々しく、漆黒の短髪が幼げだ。しかしその目つきだけはどこまでも冷酷だった。五十年前のアズの記憶で見た者達と全く同じ目なのだ。


「あ、あの! 実はアズちゃんはもう魔女じゃないんです。ほら、この通り普通の女の子なんですよ? だから——」

「貴様がナギ・トルーサーだな」

「え!? な、なんで僕の名前を……」

「日没の頃、貴様からの魔電報が届いた。そこから位置を特定してここまで来ることができた。協力感謝するぞ」

「は!?」


 ナギが工場長ターレムの代わりに送った『修理工の要請の旨』が書かれた電報は、なんとタツガシラのコウが受け取っていた。ナギは自分の善行がここでも状況を悪化させていたことに焦りを見せる。


「待ってください! あれは貴方を呼ぶ為に送ったんじゃありません! 今すぐ帰ってくださ——」

「貴様」

「ひっ……!?」


 ナギが一歩踏み込んで制止しようとした時、コウが大剣を彼の首元に突き付けた。目下に迫ってからよく見ると、それは様々な鉄材を継ぎ接ぎして出来た機械仕掛けの大剣で、一目見て魔術武装を施しているものだとナギは理解する。

 しかし、まず驚くべきはその速度だった。瞬きもしない内にコウは大剣を振り回して正確にナギの首元へと突き付けたのだ。見た目にそぐわず途轍もない膂力を有していることは明らかである。


「貴様も名門トルーサー家の人間なら、俺達『ガシラ』を知らない筈は無いだろう。業務妨害はお勧めしないぞ」

「待って待って~、俺は知らないよ~~!」


 ナギの窮地に反して、ステラは未だ麻痺の効果が残っているのか、地べたで寝転がりながら間抜けな声を上げている。コウはつい不審がって、ステラを全面的に無視していた。


「し、知っていますとも。魔術師の総本山、セラフィリア魔術教院直属の秘密部隊、『タツガシラ白十字騎士団』……通称。その神々しい名前とは裏腹に、やってることは粛清暗殺戦争支援など汚れ仕事ばかりの極悪連中! って、噂で聞いたくらいですけど……まさか実在していたなんて」

「概ね正解だ。だが、間違いが一つ」


 大剣を握る手が僅かに力んだ。コウの目に怒気が宿る。


「我々のしていることは汚れ仕事ではない。れっきとした聖職だ! 教院に不都合な人間を殺すのも、利益ある方に加担して戦争を行うのも、規範から逸脱した大量殺人犯の魔女を殺すのも全て!」

「あ、アズちゃんはそんな子じゃ——」

「俺は今怒っているんだ。五十年前のガシラの失態に、魔女を野放しにしてしまったこの結果に、職務を全うできなかった先達せんだつの尻拭いをさせられていることに!」


 コウの鬼のような目がアズの方に向いた。アズは先程の禍々しい姿からは打って変わり、すっかり怯えた様子である。五十年前の思い出がトラウマとなって少女を縛っていた。


「おーおー、すごい気迫だこりゃ」

「待ってください! これには事情が——」

「それでも! 本来この魔女に施された封印は、筈の代物だった」


 ナギの肩がぎくりと跳ねた。


「俺が聞いた『困った町』の噂では、通りがかった旅人に面倒な困りごとを押し付けて無理矢理手伝わせる、ただの珍妙な物語だった。だがこれがその実、封印解除の片棒を担がせる巧妙な手口だったという訳だ。これまで通ってきた旅人は面倒くさがってそのまま町を去るか、そもそも怪しい町に近付かないのでこれまで事なきを得ていた訳だが……」

「へえ~……そ、そうだったんですねぇ」

「どこかのお人好しが余計なことをしたせいでこのザマだ! 封印は解除されて魔女はピンピンしているし、旅人の内一人は魔女と親しくし、もう一人は麻痺で倒れているときた。現状こそ全く意味不明だが、察するにお前たちが片棒を担いだと見て間違い無さそうだな」


 コウが大剣に魔力を込めた。大剣の中でそれが激しく暴れまわり、ギィィン……とけたたましい駆動音が鳴り響く。


「何をするつもりですか!」

「言っただろう。魔女を『討伐』する」


 その眼差しに嘘は無かった。ナギはこれ以上の話し合いを諦めて、アズを背にしながら彼の前に立ちはだかると、全身に力を込め始める。


「やるしかないんですね……スピード・アジャスト——」

「ナギ、止まれッ!!」


 ステラの叫び声が後方から飛んで来た。すると、それと同時に黒い影がナギの視界を一瞬遮る。

 ナギがはっとして気が付くと、彼の背後には剣を地面に突き刺すコウの姿があった。


「ほう? スキル持ちか。やはりトルーサーの血は優秀だな。だが、それ以上軽率に動いていたら胴と首が離れていたぞ」


 その一瞬の動きは、ステラのようなスキルによる高速移動では無かった。何の予備動作も挟まなかったことから、彼の生来の身体能力によるものだ。

 コウはナギを通過した後、そのままアズの方に歩み寄った。そして突き刺した大剣を再び彼女の方に向ける。


「『アリアドネ』!」


 大剣が振りかざされるとギィィン、というけたたましい駆動音が雄たけびのように鳴る。そして大剣の峯から極細の光る線が幾つも放たれアズの身体に巻き付いた。それは水と雷の性質を持つだ。

 コウはすかさず魔力を送り込んだ。すると電撃は強まり、水の糸を通じて少女の体に絶え間ない激痛を与える。一瞬は耐えてみせようとしたアズだが、やがてすぐに苦悶の表情を見せた。


「ぐっ、あああ……!」

「アズちゃんっ!!」

「邪魔立てするなトルーサー! これはガシラの仕事だ!」


 攻撃に集中するコウは、阻止しようと動き出したナギにも同時に殺気を向けていた。もはや少年の容貌はただの飾りにしか見えず、なんとしても討伐を果たすという彼の確固たる意志にナギは再び打ちひしがれそうになる。


「知ったこっちゃないですよ! その子はもう何もしない、何もできないんです! 普通の女の子なんですよ!?」

「ただの子どもに何十人も人間を殺せるか! お前も知っているだろう、この魔女の行いを! 教えられただけですぐに禁術を解するのも、それをこなすだけの魔力量も、立派な魔女の素質だ! そして——」


 コウは更に出力を上げた。少女の絶叫か彼らの耳をつんざく。


「その使い道を誤った。だから『裁く』ッ!」


 またも駆動音が鳴った。大剣はあまりの激しさにいななきを上げているようだった。バチバチという鋭い電流の音から、その攻撃の過剰さが良く分かる。


「情け容赦は無用。それが俺達の仕事だ。このまま臓物を焼き焦がしてやる……!」

「ぐぅぅ……ああッ! お姉ちゃん、いだいよぉ……!」


『だめ、これ以上はアズちゃんが死んじゃう……』


 電撃を止めさせようにもナギのスキル『調速』ではこの状況を打破できない。魔術で彼を止めようとしても、彼から浴びせられた殺気がそれは無意味だと如実に語っていた。

 突如訪れた圧倒的な無力感。救ったばかりの少女が自分の非力故に死んでいく。この現状を打破するには自分はどうすれば良いのか。ナギは寸刻の諦めも許されない中、必死に思考を巡らせた。そして——


「『これがトルーサーの流儀ですスピード・アジャストメント』ッ!」


 ナギは咄嗟にステラの方を振り返った。そこでは、彼が痺れながら獣のように四本足で立ち、今まさに飛びつかんと構えていた。

 このまま彼が痺れた体で飛び出しても、その脅威はたかが知れているだろう。仮に『最速』を発動しても、恐らくコウの攻撃を阻害するほどの威力は出せない。


『だったら、僕が底上げしてあげればいいんです!』


 ステラはコウから警戒されないよう、終始黙って反撃の機を窺っていた。そしてナギはその様子を察することができた。

 二つのスキルが重なり、いよいよステラがその脚を動かす——


「『祈る暇も無いスピーディ・ダン』……」

「……! 貴様、何をするつもりだ!」


 踏み込んだ地面が、その足跡よりも一回り大きく抉れた。


「『サード』ッ!」


 走り出したその瞬間。工場の窓がそれに合わせて立て続けに割れた。衝撃波ソニックブームがステラを起点に発生したのだ。

 金属が弾ける音、ガラス片が地面を跳ねる音、荒い呼吸音。様々な音が入り混じり、砂塵はごうごうと舞う。

 徐々に視界を遮る塵芥が晴れると、その中でアズは電撃から解放されており、近くには座り込んだステラとコウの姿があった。


「ぜぇっ、はぁっ……げほっ。ああ~~、チョー大変だった!」


 言いながら、ステラは腕に抱えた大量の機械部品を地面に落とす。その銀の破片はコウにとって強い見覚えがあった。


「お、俺の大剣がぁ!? お前、まさか今の一瞬で分解したのか……!?」

「分解だなんてそんな器用なことできないよ。横から殴ったらこうなっちゃっただけさ。飛び散った破片が君やアズに当たりそうだったから、こうして全部拾ってあげたんだよ。感謝してよ~ほんと」

「な、なんてことを……これじゃ仕事が出来ないじゃないかあ!!」


 渾身の一撃により状況は完全に一変した。武器を失って絶望するコウを尻目に、ナギがステラの下に駆け寄る。


「ステラ! 記憶は……僕のこと忘れていませんよね!?」

「ばっちりだよ、『調速』の魔術師殿」

「ちょ、その二つ名は忘れてください!」


 その時。いつもの調子に戻った二人を睨んで、コウがゆらりと立ち上がった。その手には刀身が欠けた歪な剣が握られており、まだ彼の目にも闘志が宿っているのが分かった。


「無名の魔術師、いやステラと言ったか……? よくも、よくもやってくれたなぁ……」

「おお、手品師から大昇格だ。こりゃどうも」

「欠けた刀身でも構わん。仕事の邪魔をしてくれた礼にここで首を切り落としてやろう。さあ、名を名乗れ!」

「あわわ、どうしましょう! これじゃ状況が悪化しただけですよ!?」

「『最速の魔術師』ステラ・テオドーシスだ。仕掛けるならどうぞ」


 余裕そうに構えて、ステラは挑発的に手のひらを見せた。痺れが消えて、いよいよ本調子の彼が戻ってきた。

 ステラは、この様子ならばそのまま彼が剣を構えて飛び掛かってくるものだと警戒していた。いつでも『最速』を発動できるよう、目を凝らして相手を見つめながら。

 しかし、その予想を裏切ってコウは一向に飛び掛かってこなかった。それどころか、先程見せた闘志を欠片も感じさせない表情で、疑うようにステラの顔をまじまじと見つめている。


「……あれ? どうしたの? 剣壊れたのそんなにショックだった?」

「さ、『最速』、テオドーシス……だと?」

「ま、まあそうですけど」

「そんな筈……いや、しかしさっきの攻撃は間違いなく彼女の……!」


 ベラ爺の時と同様に、コウもまたテオドーシスの名を聞いて狼狽していた。握っていた剣を捨て置き、両手で頭を抱えて何か悩んでいる様子である。


「ああ! クソ、相手が悪い、悪すぎるっ!!」

「……ど、どうしましょうステラ」

「一旦逃げちゃう?」

「駄目だッ! 逃がすものか……いや、貴様らの処遇は先送りにするが、その魔女は絶対に……」


 コウはアズを睨んで言ったが、出掛かった言葉が途切れてしまう。タツガシラ白十字騎士団として、必ず任務クエストを遂行させると誓った彼だったが、ふと気付いた彼女のあまりに少女然とした様子に、はっとしたような顔を見せた。


「くっ……~~ッ!」


 拳を握り締めて歯を食いしばった。任務遂行が難しいこと。アズのあまりに魔女らしからぬ様子も鑑みて、彼の中で揺れているものがあった。

 すると、ステラはその葛藤を好機と見たのか。軽率に、そして最速でコウの肩に寄りかかった。


「まぁまぁ。なんでも完璧にやればいいってもんじゃないよ。中途半端なのも人間らしいじゃん?」

「い、いつの間に近くに! 近付くな、ひっつくな! これはそんな簡単な問題じゃないんだ!」

「『神様』じゃないんだからさぁ、そういうもんだよ仕事って」

「うるさーい! こちとら聖職者なんだぞ、そんなこと、そんなこと出来る訳が……っ!」


 やがて男の絞り出すような声は途方もなく消えていく。唐突な乱入者『ガシラ』による魔女討伐任務クエストは、無事失敗に終わった。



 カタ、カタ……カタ、カタ……


 激戦から一呼吸を置いて暫く。任務クエストが失敗に終わったコウは魔女の討伐を諦めて、本部への連絡の為にナギから魔電報の使い方を教えてもらっていた。

 コウ曰く、半世紀の魔女アズ・オルディンガーの処遇はこの先の宗教都市クレルモンの裁判所で決められるという。ステラとナギの二人も、封印解除ほう助の疑いで起訴されると彼は付け加えて説明した。


「だーかーら! そこは送信のボタン! 改行はこうするんですよ!」

「あぁ分からん! もう少し分かりやすく説明してくれ!」


 機械仕掛けの大剣を扱っていた姿からは想像が出来ないほどに、コウはかなりの機械音痴のようで、その理解力の乏しさにナギも四苦八苦している。一方のステラは二人の様子を傍から眺めて笑っていた。


「この調子だと丸く収まりそうだね」


 自身の服の裾を掴んで地面を見つめているアズに、ステラは優しい声を掛けた。


「そ、その……ステラ、さん」

「ステラで良いよ。どうしたんだい?」

「えっとね……ナギお姉ちゃんにありがとうって伝えて欲しいの」

「自分で言った方がいいと思うな。そういうことは」

「で、でも……多分私は裁かれるし、最悪、死刑になっちゃうかもだから……」

「そうならないよう俺からコウに言っとくからさ。なんかこの名前テオドーシスって結構幅が効くらしいし。任せといてよ」

「ほ、ほんと……?」


 よく見れば、アズはナギよりも幼い。事実、五十年という歳月を経ても彼女は殆ど誰とも交わることが出来なかった、悲しい十代の少女なのだ。彼女のいじらしさに当てられたステラは、根拠のない自信で「任せといてよ」と豪語した。

 アズはふぅ、と小さく深呼吸をしてナギの方に駆け寄った。


「あの、ナギお姉ちゃ——」

「グルルル……! 魔女め、今更何しに来た!」

「こら! アズちゃんを威嚇しちゃいけません! 空中で止めて宙吊りにしてやりましょうか!?」

「な、なんだとぉ!? この野郎、見た目に似合わず恐ろしいことを……!」

「さ、この人は置いといて。どうしたんですかアズちゃん」


 向き直ったナギに照れながら、アズはたどたどしく言葉を続けた。


「あ、『ありがとう』……友達になってくれたこと、普通の人間の女の子として扱ってくれたこと。本当に嬉しかったんだ」

「ふふっ。ええ、そうですね。例え君が魔女でも何でも、僕達はもうとっくに友達ですよ!」


 今度こそ、とナギは右手を差し出した。アズも恐る恐るその手を取ると、二人はたちまち顔を綻ばせた。

 お互いを見合って、二人は何度も静かに笑う。少女はようやく認められ、赦され、そして助けられたのだった。


「……はぁ、どうすればいいんだか」

「おやおや? アズの処遇に困ってるのかい?」

「む……ステラ・テオドーシスめ。その顔、お前の言いたいことは分かるぞ。アズ・オルディンガーの刑罰を軽くしろと言うのだろう」

「話が速いね。君も知っての通りあの子は東の魔女にたぶらかされて人道を外したんだ。使い道を間違えたのも致し方ないこと。そうだろ?」

「俺がテオドーシスの名前にビビってからやけに強気だなお前……全く、自分のに感謝しろよな」

「そうだねぇ……ん? 師匠?」


 コウはステラの疑問符には気付かず、再び小難しい表情に戻って打電を続けた。その手つきは相変わらず覚束なく、彼が操作に慣れるのはまだ少し先になりそうだ。


 カタカタ、と魔電報の打鍵音が廃工場に響く。

 いつの間にかステラ達にかかっていたまやかしは解け、オルディンガータウンの町並みも現実に戻っていた。石レンガ造りの民家や小綺麗な町工場などはそこにはなく、在るのは人が消えてからの長い歳月を思わせる、空しく崩れた廃墟だけだ。

 月は西へ傾いて、東雲しののめは思い出したかのように赤らいだ。

 太陽が顔を覗かせると、森の木々を縫うような光が一帯に降り注がれた。


 ——町は消えた。人も消えた。廃工場のどこかで逞しく咲いた野花だけが、あの凄惨な歴史を黙々と語り継いでくれるだろう。

 半世紀の悪夢は、ようやく終わった。




『タツガシラ白十字騎士団業務報告 コウ・カマタより


 緊急のため、魔電報にて報告する。


 特別任務『半世紀の魔女討伐クエスト』において、対象である「半世紀の魔女」と接触。到着時点で二名の旅人と共に封印を解除しており、それまで五十年前と変わらぬ力を発揮していたが間もなく弱体化した。

 二名の旅人のうち一名はナギ・トルーサーで、この者が半世紀の魔女の説得、懐柔に成功したと推測される。

 もう一人はステラ・テオドーシスであり、最速の魔術師を自称する不審者である。しかしその速さは確かに、かの最速の魔女『ディア・テオドーシス』のものと遜色ないレベルだった。奇妙なことに当人は殆ど記憶がなくて事実確認がとれない為、後日ディア氏から事情聴取を行うよう提言させて頂く。


 魔女の処遇については再考の余地ありと判断。近日中にクレルモンの裁判にて——』


 コウは一通り打ち終えると、疲れた表情で最後のボタンを押した。


「はぁ……送信っと」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る