甘えた顔しやがってpart2

昔から小さくて可愛いもんが好きだ。

そんな目つきのわりぃガタイのいいド金髪ヤンキーが何言ってんだってダチは嗤うけどよ。


ウサギと文鳥、道で拾った猫も飼ってる。

ヤンキーと雨に濡れた捨て猫はお約束だって?

うるせぇ。

とにかく俺は小さくてか弱い生き物がほっとけないんだよ。


百目鬼どうめき何見てんの?」

「なんでもねえ」


悪友の声に我に返る。

昼休み、1階教室の窓の外に見えた1年女子。山田ゆず。

顎の下で切り揃えた一度も染めたことなさそうな真っ黒のサラサラの髪。

だっせぇ黒縁眼鏡の奥の丸くて大きな瞳。昔飼ってたハムスターに似てる。

小柄でいつもおどおどしてる。

この前も声掛けたらすげービビってカツアゲだと思われた。


方向音痴だし鈍くさいし見てるとハラハラする。

あ、渡り廊下の何もないところでコケてる。

思わず椅子を蹴倒して立ち上がる。


あぶねえ。荷物持ち過ぎだ。

どうせまた誰かに何か頼まれて断れなかったんだろう。


窓から出ていく俺にダチが何か言ってたけど、今はそんな場合じゃない。

鈍くさいあいつに親切ごかしに手を差し出してる奴がいる。

放っておいたら変な奴に絡まれてしまう。


ったく、甘えた顔しやがって。

俺以外にそんな顔するんじゃねえよ。


◇◇◇◇◇


続き。

キミ自身が絡んでくる変な奴な。

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