甘えた顔しやがって
先輩は怖い。
もう名前が怖い。
鬼だけでも怖いのに目が百もあるんだよ?
ある意味学校の有名人。
いつも睨んでるみたいな三白眼。
着崩した制服。粗暴な言動。大きな体。
ツーブロックの金髪と耳にジャラジャラついた黒いピアス環。
私が持ってるノートの金具みたいだから、こっそりリングノートって呼んでることは本人にはとても言えない。
そんな絶滅危惧種みたいなヤンキー先輩が、存在感薄い地味眼鏡の私に覆いかぶさるように壁ドンしてるんですけど!?
大きな手がぬうっと目の前に出てきて私は思わず身を竦めた。
「おら、出せよ」
「ひぃ!お金持ってません!!」
「あぁ!?何言ってんだてめぇ。持ってる荷物全部寄越せ」
「こ、ここここれは先生に頼まれて返す資料でっ」
「んなこた分かってんだよ。……重そうだから持ってやるって言ってんだよ」
「へっ!?」
驚きすぎて思考停止する私の手から資料を奪い、ずんずん歩いて行く。
私は慌てて先輩の後を追った。
「あの、あの……ありがとうございます」
「うるせぇ、甘えた顔しやがって」
舌打ちせんばかりに暴言を吐いた先輩の。
ピアスに縁どられた耳が真っ赤に染まっていた。
◇◇◇◇◇
実際言われた言葉だけど、こんな状況だったらキュンなんだけどねえ。
全国の百目鬼さんごめんなさいね。
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