第6話 物語の続き

 この物語には続きがあります。



 魔族が滅んでから数世紀が経ち、世界の人々は平和な日々を過ごしていました。

 勇者が「闇の宝玉」を使用して魔族を滅ぼしたからです。今では、魔王城は肝試しのスポットになっていて若者たちが集まるようになっていました。

 

 毎夜、若者たちの騒がしい声が聞こえています。その夜も、3人の若者が魔王城の中を探索していました。しかし、そこで予期せぬ事件が起きていたのです。


 ある日の朝、1人の若者が真っ青な顔をして町に戻ってきました。

 魔族に襲われ逃げてきた!! 他の仲間が殺された!! と若者は叫んでいました。

 恐れおののき、震え上がっていたそうです。



 しかし、町の人々はちゃんと取り合おうとはしませんでした。

 

 魔族は滅びたのです。

 魔族の力は失われているのです。

 数世紀前から、魔族は喋ることもできない小さな魔物のように変わっていたのです。

 今更、恐れていたら笑いものにされると誰もが思っていました。

 野生のクマにでも襲われたのだろう、そう思うのは仕方のないことでした。




 ひと月が経った頃、同じような事件が起きていました。

 数名の若者たちが行方不明になりました。




 目撃者はこう語ります。

 魔族に殺された!! 魔族に襲われた!! と言うのです。事件が続くと、町の人々は不安になります。町長が北の魔法都市に連絡をすることになりました。




 魔法都市では知識人たちが集まりました。魔族たちの封印魔法が弱まっているのではないか、と調査団が結成されることになりました。しかし、いくら調査をしても、封印の魔法が弱まっている兆候を確認することはできませんでした。



 しかし、魔王城の付近では魔族の目撃情報だけが増えていきました。

 不安を抱き始めた頃、1つの調査団から興味深い報告書が提出されました。報告書には『異世界人の封印魔法の失敗について』との記載がありました。



 報告書を読むと、封印の魔法は純粋な魔族のみに効果があり、混血の魔族には効果がなかったということでした。


 純粋な魔族が滅んでいた。

 しかし、混血の魔族は生きていた。


 

 魔族は滅んでいなかったことを世界は知ることになったのです。

 ただ、混血の魔族は少数です。

 彼らは忌み子と呼ばれており、隠されてきた存在でした。

 

 彼らを探すことは砂漠の中で1本の針を探すようなものだったのです。だからこそ、数世紀に渡り、人々は平和な時間を謳歌することができたのです。




 何故、彼らは魔族として世界に現れたのか




 人間に対抗するだけの力を蓄えていたのではないか、また戦争が始まろうとしているのか、と人々は誰もが恐れおののいていていました。



 住んでいた村でもこの出来事を聞いたことがあります。旅商人たちは不安そうな顔をしていました。ただ、その話が正しいと証明されたわけではありません。都市伝説の一つのようなものだと考えている人も多くいるようです。





 しかし、魔族との戦いは終わっていなかったのか、人々はそのような思いを抱くようになっていました。

 教会には、異世界人に祈りを捧げる人々が集まっています。




 部屋の真ん中には6人の異世界人が眠っています。

 6人は勇者ではなく、真ん中にいる2人は勇者とともに旅をした仲間であると書いてありました。



 私は部屋の外に出ることにしました。

 部屋を出ると、老人がこちらを見つめていました。

 


「まだ、魔族は生きているのです!!! あなたも祈ってください。本当の平和が訪れるようにと!!!」



 会釈をしてから、私は教会を出ることにしました。

 太陽の日差しが照り付けていました。






 教会の前の広場で子供たちが遊んでいます。 



 火薬の袋を持ち、火の魔法の訓練をしていました。

 魔法により火薬の袋を破裂させるのです。


 子供のころ、何度となく火魔法の訓練のために使用したことがありました。



 妻は座って、子供たちを眺めているようでした。

 妻が私の顔を見上げていました。



「戻ってきてるなら教えてよ!」と、妻は不安そうに言いました。

「楽しそうだったからね…」と、私は笑っていました。

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