第4話 町の話
数日後、私たちは南の城の前まで辿り着きました。
10メートルほどの城壁がそびえ立ち、その上には弓兵たちの姿がありました。
門の前には城下町へと入るための列ができています。
受付の男性の前に来ると、村から持ってきた手紙を渡しました。
「ほう、あなた様は勇者なのですね、証明するものはありますか!?」
「村の戸籍」と「勇者の紋章」を見せることにしました。
偽物だと気が付かれないかと不安になりました。
兵士は納得したようでした。
「どうぞ、お入りください!!」
私が戸惑っていると、
「大丈夫ですよ。盗賊や、悪人でもない限り、通行料さえ払ってもらえたら誰だって城下町には入ることはできます」
と兵士の声が聞こえてきました。
「1週間の滞在許可証をお渡しします。滞在許可証については受け取りの際に説明があることでしょう」
入場の手続きを終えると、私たちは城下町を歩いていました。
街には、店屋のテントが並んでいました。
たくさんの声で溢れています。
レンガ造りの住宅街を歩いていきました。
子供たちのグループが私たちの横を通り過ぎました。
階段を上っていくと、城の前に門兵の姿が見えました。
彼らは大きな槍を持っています。
兵士の前に来ると、城に来た理由を話すことにしました。
しかし、兵士たちは愛想がありませんでした。
無関心のようです。
「王様は多忙である、明日来てくれ!!」
兵士たちの声が聞こえました。
それ以上、私の話を聞いてはくれませんでした。
諦めて、城下町に戻ることにしました。
宿屋を探すため、町の中を歩いてみることにしました。
「まあ、仕方がないわよ……」
妻の声が聞こえていました。
城の階段を下りていくと、私は高台を見上げて立ち止まりました。
教会があったからです。
2階建ての大きな建物でした。綺麗な白い壁で覆われています。
ずっと、教会を見つめていました。
「何しているの? 早く、行きましょうよ……」と妻の声がします。
「異世界人っているのかな…」と、私は言いました。
私の腕を妻が引っ張っています。
「見たって意味なんてないわよ」
「わかっているけどさ、ちょっと、勇者の姿を見たいんだ……」
私は教会の方へ歩いていきました。
すると、後ろから妻の声が聞こえてきます。
「勇者を見たいって。何でそんなことがしたいの、もう、外で待っているからね!!」
「ごめん、ちょっと待ってて……」
大きな扉を開けると、中には10人ほどが祈りを
しばらく立ち尽くしていると、老人の声が聞こえてきました。
ドアの前に1人の老人が立っています。
「中に入ってみませんか?」
と、老人は言いました。
私は頷きます。
「部屋の中には転生者様たちが眠っておられます。静かに祈りをささげてください!!」
老人はゆっくりとドアを開けました。
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