第19話 プライベート



#1

失踪した女子生徒。写真に写る女子生徒は短く切った髪、ボブ、だったか、にセーラー服を着ていた。何処となくプライベートな感じなのは正式な制服では無いからなのかもしれない。則香の学校は確かブレザーだった。

目鼻は掘り深く整っていて、芸能人で通しても通るような顔だった。実際芸能活動をしていた、と言う情報もあった。

写真では判り難いが、身長は低め、瘦身で、体格も復芸能人のようだった。



#2

――帰りが遅く成りまして――

幼女時代からの写真を見せてもらった。誰でもそうなのだろうがあどけない。

「――そのうち、帰りが何時か分からなくなって」

「お父さんは?」

「未だ仕事で。八時頃には帰りますが」

「お嬢さんに兄弟は?」

「一人娘です」

「養子、ですか?」

母親は不思議そうな顔をして。

「いいえ」

と答えた。

――そうですか――


#3

中央指揮所。

治安関係のLANにエントリー。

賞金稼ぎの為の情報閲覧席に陣取っていた。

依頼人のプロファイルをウィザードで作成させていると右上隅にウェインドウがポップアップした。

「あまり外事課のパーミッションを使わないように」

「痕跡で問題が?」

「先方からハッキングの件で苦情が来ている」

「後は外事課で仕切ると」

「此方でも探したいが被害届が」

「でない?」

「誰も被害届を出そうとしない」

被害届が出されないと捜査は開始されない。そういう法律になっている。事件未満の事件を片付けるのも仕事だった。

外国絡みの事件が多いので、外事課のパーミッションを使わせてもらっていた。普通は広報課閲覧者としてエントリーする。

「難儀ですね」

「バイト先は?」

「未だですが」

「洗うといいよ。穏当に」

そう言ってポップアップは消えた。



#4

「調査されてるよ。」

帰り際、席を立ってドアに向かおうとすると助役に呼び止められた。

「何処ですか」

「国内勢力」

この私塾に通うようになって色々な所から身辺調査されるようになった。国内外を問わない複数の勢力から。

其れは私塾の目的から考えれば割と普通な事だが、高校生の身には少々オーバーロードだった。

言葉が出ないでいると、

「辞めるなら今の内」

毒もね、と言って助役は踵をかえして歩き出した。

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