第20話 いざ! ケーキ入刀!

▼▼▼


 俺は駆け出していた。

 サクラの亡骸を背負いながら。


 全速力で! 


 身体のアチコチを焼け焦げさせ、重度の火傷を負いながらも、尚!


 バラバラになりそうに身体が軋んで、痛みで狂い叫び出しそうになりながらも、それでも!

 

「サクラッ! しっかり掴まってろよ! サクラッ!」


 きっとこれまでにないくらい、俺の笑顔は爽やかで晴れやかだ!


「だって結婚式だものなぁああああーっ!!」


 青空に向かい快活に笑った!


 救急車に備えてあった包帯を拝借し、それで俺とサクラの身体をグルグル巻きにし、もう2度と解けぬよう、2人を固く、固ぁく結び付けて。


 そうして俺は俺たちは、今!


 走る!

 駆ける!

 疾駆する!


 どこへ向かって!?


 それは勿論!

 『間男』の家に向かって!!


 何のために?


 それは勿論!

 2人の愛を、幸せを、クソゲロ短小マヂキチ雑巾牛乳間男ヤローに、見せ付けてやるために!


 そして! 

 ケーキ入刀! 

 するためにっ!


 結婚式と言えば、ケーキ入刀だ!

 あ?

 それは式じゃなくて披露宴だって?

 そんなんどっちでも良い!

 とにかく入刀するのだ!

 入刀せねばならぬのだ!

 サクラと一緒に。

 共同作業で!


 そのためにも包丁を!

 包丁を何処かで手に入れなくては!


「包丁ありませんか? スイマセンッ! 包丁持ってませんかっ!?」


 通行人みちゆくひとにすれ違いながら問い掛けるも、ただただドン引きされるばかり!


 世知辛いが仕方ない!

 道中にホムセンでも寄ろう! 

 寄れなかったら、もう現地調達で!


 きっとあるよね?

 間男の家にだって、包丁の1本くらいはっ!


 ハハッ!


 そうさ!

 そうだよ!

 ケーキじゃないよ!

 俺たちが入刀するのは! 


 イルマミキト、


 と!


 イタクラサクラ。


 いやさ結婚したんだから、


 イルマサクラ!


 愛を誓い合った2人が共に刃を差し込むのは、ケーキなんかじゃぁ、ない。断じてないっ!


 俺たちが入刀するのは……


 『間男の心臓』に、だっ!


 ズブリ。

 グリッ。 

 シャッ!

 シュパァアアアアンッ!!


 ヒャッハーッ!!


 ケーキなのにシャンパンシャワーも兼ねてるぜぇええええーっ!!


 リンゴーン!

 リィイインゴォオオオン!


 ああ鐘が鳴り響く!

 2人を祝福する鐘が!


 聴こえるっ!

 見えるっ!

 感じるぅうううううーっ!


 俺とサクラの『幸せ』がっ!

 俺とサクラの、『永遠の幸せ』がぁああああああああああああーっ!!


▼▼▼


 ピッ……。

 ピッ……。


 医療機器の電子音。


 点滴。

 俺のことを上から覗き込む、知らない看護師の顔。


「……アンタ、まだ死んじゃダメよ」


 大きなお世話だ。

 バカヤロウ。


 ピッ……。

 ピッ……。


▼▼▼


 全部が妄想? 

 なにが? 

 どこから、どこまで、が?

 知らないよ。

 好きに解釈しちゃって、どうぞ。


 俺は………………もう………………………………寝る。




(完)





――――――――――――――――――――


▼▼▼


 あとがき


 この物語を最後まで読んで頂き、そしてこの「あとがき」にまで目を通して下さり本当にありがとうございます。


 本作は私、第八のコジカが初めて10万文字を超えて完結させた作品です。

 いかがでしたでしょうか?

 少しでも楽しんで頂けたでしょうか?

 もし楽しんで頂けたのなら、とてもとても光栄にございます。


 モラハラくんとメンヘラちゃん。

 改めて見返してみますと、我ながら随分と不穏な話になったなぁ、という感じです。

 読みにくかったり、表現としておかしなところも多々あったかと思いますが、これが今の私の「全力」を出し切って書いた作品です。

 この作品を書くことで得た経験を糧に、次に書く物語は更なるチャレンジをしていきたいと思います。

 

 ここまで読んで頂いて、もし某か思ったり感じたり面白いと思って頂けたなら、是非とも☆評価、レビューなどを賜れれば幸いです。


 そして……


 公開前に下読みをしてくれて、かつ素晴らしいアドバイスをくれたSさん。指摘して貰った点を今作で修正しきれなくて無念でござる(´;ω;`) 次に書く作品ではもっと意識して活かしていきたいと思います。本当にありがとう!


 また同じく公開前に下読みしてくれて、カクコン参加するっつってんのにコジカが勢い余って11月中に公開しようとして「コンテスト12月開始じゃね?」と冷静にツッコんでくれたKさん。大ポカやらかさずにすみました助かりました。本当にあざます!


 私を支え、創作を応援してくる家族! 頭が上がりません! いつもありがとう!


 最後に……


 この物語を読み切りってくれた読者の皆様!

 本当に本当にありがとうございます!

 これからも第八のコジカと、コジカの書く物語をどうぞよろしくお願いいたしますm(_ _)m


            2022/12/11 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

モラハラくんとメンヘラちゃん 〜あるいはサレ彼とシタ彼女がウェディング・ケーキ(間男の心臓)に入刀を果たすまで〜 第八のコジカ @daihachi-no-kojika

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ