ボクはビール妖精、今日もせっせとビールを仕込みます。

無限飛行

美味しくなあれ

ここは神の森の中にある、カーナ▪アイーハ様の【小さな箱庭グリーン▪サンクチュアリ】の花畑です。


ボクは此処で生まれたビール妖精。

名前はモルトと言います。


ここからはボク、【とある妖精の一日】をご紹介します。

カーナ様に産んで頂いた新妖精です。

どうぞ、宜しくお願い致します。


あ、産んだというと、

『まだ、未婚一歳児に何て事をいうの!?勝手に住み着いたんでしょ、撤回なさい!』


と、言われ、怒られました。

だから、何処からか、ボクは来た事になっています。記憶は無いんですが……。


ボクの1日は、美味しいビールを作って、カーナ様に喜んで貰う事です。


ビールは、製麦→仕込→発酵→貯酒→ろ過 という工程で作られます。

原料は、麦芽、ホップ、酵母、水だけで作ります。


ボクの主な力は、酵母コントロール、時短熟成、適温管理、ビールプラント召喚、水召喚です。


ビールプラント召喚は、ビールプラントその物を召喚でき、仕込み、蒸留、加熱処理、ビン詰め、梱包までを一貫して行えるオートメーションライン工場になります。


また、水召喚は、天然水、海洋深層水、温泉水と召喚でき、ビールの仕込みに欠かせません。

このビールプラント召喚、水召喚のお陰で、ボクは、短期間に大量のビールを生産する事が出来るのです。



ところでボクの容姿は、カーナ様が言われるには、トンボの羽根付き【ラガーマン】だそうです?


よく分かりませんが、この少し見ずらい視界はヘルメットと言って、アメフト?と呼ばれるスポーツ競技の衣装なんだそうです。

他にも、ショルダーパッド、グローブやシューズと言う物を装備してるらしく、一般的ではないそうです。

カーナ様は一般的でないと、おっしゃりますが、生まれた時から装着しているので、ボクはとっても気に入ってます。



でも、カーナ様は

『暑苦しい!ヘルメットは、普段は脱ぎなさい!』と、真っ赤になって言われます。


しかしながら、如何にカーナ様のご命令でも、生まれた時から付けている物を、おいそれと取る勇気はありません。

ボクがぐずぐずしていると、カーナ様がヘルメットを無理やり剥がしに掛かりました。


カポンッ


あ、ヘルメットが取れました。


「どう?気持ちいいでしょ!ヘルメットはずっと付けているとムレるし、臭くなるから気持ち悪くなるのよ。だから、こうして外した方が良いのよ。私に感謝しなさ……!?」


どうしたんでしょう?

カーナ様がボクを凝視、目を見開いて止まってしまいました。

困りました。顔がスー、スーします。

ヘルメットを着けたいので、ヘルメットを持とうとしましたが、グローブ越しで上手く持てません。グローブを外してみました。

あ、ボクの手は褐色なんですね。初めて知りました。いわゆる小麦色の手です。

健康的で悪くはないですね。


さてと、ボクはヘルメットを取って、頭に着けようとしました。


ガシッ


!?

カーナ様が充血した目でボクを見つめながら、ボクの手を取りました。押しても引いてもビクともしません。

これでは、ヘルメットを付ける事が出来ません。顔がスー、スーするのに!?


「あ、あの、カーナ様?」


「あんた、ヘルメット、禁止」


え?今、なんと!?

カーナ様が、目をキラキラさせて言いました。なんで?


「カーナ様、その、顔が、スー、スーす」


「絶対、禁止。あんた、そのままが最高。ずっと観賞していたいわ!」


カーナ様は、にんまりと白い歯を出しながら、とてもイイお顔で笑いました。


か、観賞用とは!?


でも、カーナ様の命令は絶対です。

ボクはヘルメットを置いて、ガックシと肩を落としました。

ああ、顔がスー、スーする。


でも、観賞用なら、カーナ様が見ていない時は、ヘルメットを付けていいはずです。

夜、カーナ様が眠ったら、ヘルメットを付けたいと思います。


あ、そろそろ、ビールが出来る頃です。


今回の仕込みは、一番絞りの麦汁だけを使用したビールです。

一番搾りとは、ビール製造時に、原料のもろみの自重だけで自然に流れだしてくる麦汁だけを使い、これによって渋みが少なく、さっぱりとしたビールが製造できる製法です。

ようは、クリアーな味のビールが楽しめる様になるのです。


ボクは、ヘルメットを花壇に置いて、そのままビール蒸留タンク下のコック前に参ります。そしてグラスを用意し、コック下に置いて、コックを捻りました。


とくとくとくとく


ああ、なんとも言えない豊潤な香り、もう、この香りだけで、ビールが上手く出来たか、分かるものです。

さっそく一口、飲んでみましょう。


コクッ


エクセレント!

完璧です。ああ、ボクの胸のマイスター魂が光ます。良いビールが出来ると、ボクのレベルアップに繋がるのです。



さあ、みんな、美味しビールを召し上がれ。



本編

【VRゲームで花を育てるゲーム妖精をしていたら、そのまま異世界に転生してました】


も、ヨロシクお願い致します。

https://kakuyomu.jp/works/16817139555254831512

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ボクはビール妖精、今日もせっせとビールを仕込みます。 無限飛行 @mugenhikou

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ