7. 問題は常に整理する。

 さて、学校のテストでよく目にするであろう「問題」と「答え」。

 学校で「答え」を書く経験をした人は多いだろう。しかし、「問題」をつくる経験をした人は少ないはずだ。


 学校の教育が本質的に役に立たないものなのは、詰め込み教育が悪いわけでも、記述式問題が優れているわけでもない。


 「問い」を探すという現実の世界で当たり前に必要とされるシーケンスが欠けているためなのだ。


 テストの問題と違って、日常に発生する問題には明確な「問い」はないし、問題の方も配点と鉛筆と回答用紙をもってやってくるわけではない。


 複雑に絡み合っていたり、「人間とは何か」「生きるとは何か」のように一生かけて追及してもわからないような問いだってゴロゴロ転がっている。


 それらの問題を解くために必要なのは、まず問いを分解することだ。大きな問いは、小さな問いが寄り集まってできている。だから分解する。

 そして、全てを同時に考えることはできないので、「優先順位」を付けて一つ一つの答えを探していくのだ。


 考えることのスタートは「問い」を発見することだ。


 では具体的に、問題を整理するとはどうすればいいのか?


 君の書いている小説で、敵国の圧迫を受けている。主人公の治める領地があるとしよう。


「あーもうめちゃくちゃだよ」


「金!食料!兵士!全部足らないよ~」

「こんなんじゃ統治にならないよ~(棒読み)」


「軍師とか、いらっしゃらないんですか?」

「えっそんなん関係ないでしょ」


「まずうちさぁ……ダンジョンあんだけど、焼いてかない?」


 このような状況にあって非常に混乱していることがわかる。

 災害モノでもいろいろな事態がたてこんで、描写が詰まってこのようになったりすることはよくみられる。そういった時こそ問題の分解だ。


 主人公の領地には金、食料、兵士が足らず、軍師という人材が不足して、ダンジョンが存在する。


 この中で優先的に解決すべきは生存に直接関係する問題だ。

 飯が無いと死ぬのは子供にもわかる。優先解決すべき問題として、「食料」が上がるだろう。


 そして、食料の問題を手っ取り早く解決するには「金」で購入したい、ここで問題の解決の繰り上げが起こる。


 その解決にダンジョンを用いる、オセロを開発して売る、まあいろいろあろうが、とりあえずの展開の進行はできる。面白いかどうかは別にして。


(面白いかどうかは、被害者の設定や、読者の予想を裏切って期待に応えるという演出の部分になるので、論理的思考を語る今回では述べない)


 問題を整理して、一つ一つ議論していく。そうやって考えていかないと、話は展開していかない。


 ちなみに、これが非常に重要なのがSFというジャンルだ。

 SFの難しさというのは、筆者は問題の整理にあると考えている。


 どういうことかというと、初心者によくお薦めされるSFの読み方には、こういうものがある。


「すべてに疑問を持つな。あとで作者が、全部説明してくれるから」

 これができていないSF作品はSF作品ではない。気を付けよう。

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