6. 事実・推測・意見を区別する。

 例えば、ソファーに座った野獣先輩が


「やっぱり僕は……王道を往く、ソー〇系ですかねえ」


 と言ったとしよう。

 そうしたら、君は「王道かどうかはこっちが決めるわ」とおもうだろう。


 あるいは「この辺がセクシー、エロいっ!」なんていわれても、それはお前が好きなだけだろうと一蹴するかもしれない。


 こういった発言は、自分の意見をあたかも客観的事実のように述べたものである。

 同様の例として、推測に過ぎないものを、事実として断定する。というのもある。


「何か足んねぇよなあ?」といったパワハラに近い言動はその最たるものである。


 さて、こういった事実を述べているように見えて自身の考えを押し付けていたり、事実の中にさりげなく自分の主張を織り交ぜるというのは、世間の詐欺師の常とう手段である。


 INM語録で使えるのが無かったので、不本意ながら通常の例えで説明すると畜生チクショウ


「君の頭がおかしいのはINMなんて非常識なものにこだわっているからだ!」

 ……いやこれ普通の例えか? まあいい。


 〇事実――INMにこだわる、頭がおかしい


 〇推測――頭がおかしいのはINMにこだわっているから


 INMにこだわっているのと、頭がおかしいのは事実だが、その二つに因果関係があるというのは「推測」でしかない。

 事実であるならば、逆説的に、あたまがおかしいひとはみんなINMにこだわっていないといけない。成り立ちそうでアレだが。


 個人の「考え」とは推測であり、ただの意見であるので不確かなものだ。

 小説においても、その世界の中での事実と、登場人物の考えを区別し、さらに何を考えて話し合っていくか、それを区別してはっきりとさせないと読み手は混乱してしまう。


 混み入った話になると、途端に訳が分からなくなって読み解けなくなっていく作品は、このパターンにはまっているものがよく見受けられる。意識して区別しておかないと、作者自身も騙されてしまうのだ。


 まずは設定なりで「事実」と「考え」を区別することから始めよう。


 考えから本当の事実が浮き上がることは、真実の追求というストーリーが生まれることを意味してもいるからだ。

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