第54話 祈りの集う場所
戻る途中で、はぐれてしまったマリアと合流する。
マリアは落とし穴に落ちてしばらく気を失っていたと、少し汚れた衣服を見せる。
とにかく無事でよかったとブラウズと君は安心した。
マリアと別れてブラウズの家に戻る。
シェルを部屋に寝かせてから君はブラウズと話す。
「今回もまたアッシュに助けられたな。感謝してもしきれないくらいだ」
君は首を振ると、お互いに助け合っただけだと。
「それにしても、あの力は何だったんだ。アッシュ自身もまるで神のような光に包まれていた。そうなったと思ったらシェルが生き返って何がどうなったのか、混乱したがシェルが生き返ったのだけは確かだった」
君は、君自身に起こった事をブラウズに伝える。
持っていたアンジェリカのペンダントをブラウズに返した。
「そうだったのか。アッシュが一時的に神になったおかげで、シェルが生き返る事ができたんだな。『人が人を蘇生させる事はできない』か……」
ブラウズがアンジェリカのペンダントを見つめながら呟いた。
君が心配そうにブラウズを見ると首を振り答えた。
「分かっている。そんな事は思っていない」
ブラウズは頷いて立ち上がると、君にこう伝える。
「今回の件は、直接、王に問いたださなければいけないからな。しばらく時間がかかるかもしれない。その間にシェルを見ておいてくれないか?」
君は頷いて返すと、ブラウズは城に向かうために家を出た。
シェルを看病しようと部屋に入ると、そこには誰もいなかった。
君は驚くと、ベッドに一通の手紙が置かれている。
手紙を読むとこう書かれていた。
『教会にてお待ちしていますの。マリアより』
◇◇◇◇
ここは城下町の外れの森に囲まれた教会で手紙を置いたマリアがいる場所だ。
建物自体は古いが汚れも無く、周辺はよく掃除されており清潔感を感じる。
日差しが教会を照らしている光景は建物自体が神々しい様に見えてくる。
君は教会の扉を開けて、入ると奥にはマリアが立っていた。
マリアの後ろには祈りをささげている像があり、小さな祭壇の上には本が置かれている。
君から向かって正面にマリアが立っており、その左右には長椅子と座っている信者の人が数人いるようだった。
「ちゃんと、来てくれましたの。素直に来てくれて嬉しいわ」
君は頷くと、シェルの居場所を聞いた。
「シェルの居場所……教えてもいいですけど、そこから動いたら教えられないの」
マリアの所まで歩こうと一歩踏み出した足を君は止める。
動けないので君は質問する。
何故こんな事をするのかと。
「簡単な話なの。あなたたちが……ゼノを倒してくれたおかげで、私の望みが叶うからよ。ねえ、
座っていた信者が立ち上がると、君の方を向いて全員が拍手をした。
異様な光景に君は……。
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