第42話 記憶の中の男

 記憶の中の君は動く事ができなかった。

 

 ただ、目の前にいる白衣の男に話しかけられている。

 まだ男は若く、表情は暗く陰湿な雰囲気を感じさせる姿をしていた。


「お前は私の大事な宝物。早く大きく育つんだ。そして私の願いを叶えてくれ」


 何度も同じ言葉をかけられ続け、男は次第に年齢を重ねていく。

 声も少しずつ老いと等しく変化していった。


「じゃあ、仕事に戻るよ。私の大事な『願いの種オリジン』」



 ◇◇◇◇



 君は記憶の中から現実に戻される。

 今の男を君は見た事があった。

 年齢はだいぶ年老いていたが、ドラゴンが来た時に家から出てすぐに。


 心臓が激しく鼓動する。

 はやる気持ちを君は強制的に自身の中に抑えつけた。


 君は城の地下に行こうとブラウズに伝える。

 だが、首を振って否定される。


「いや、駄目だ。地下は犯罪者が牢に管理されていて、簡単には通してもらえないようになっている。それに行ったとして、本当に地下に魔物が出てくる根源があるのか?」


 ブラウズはマリアを見ると、疑問を伝える。

 マリアは自信に満ちた顔で頷いた。

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