第37話 巨影の弱点

 ドラゴンの弱点を思い出す。

 そうだ、あの竜は魔力によって創られたドラゴンだ。

 君はブラウズに弱点の場所を伝えた。


「そうか、このドラゴンも弱点は喉と腹か。狙うにしても、危険な事には変わらないが」


 ブラウズはドラゴン相手にも臆せず戦っていた。

 それにシェルもブラウズについて戦っていたのだろう。

 どこからその勇気が湧いてくるのか、疑問に思った。


「いいか、アッシュ。俺もシェルも怖くない訳じゃない。だけどな、ここはアンジェリカが居た町だ。大切な場所をこれ以上、壊されたくないんだ」

「お父様の言う通りです。お母様が過ごした町を好き勝手にさせません。相手がドラゴンであっても!」


 シェルが再び弓を番えた時、ドラゴンに変化があった。

 歩みが止まると立ち上がり、お腹が少しずつ大きく膨れ上がってきている。


「待て! まずいぞ! このままだと町が炎で焼かれてしまう!!」


 ドラゴンまで距離はまだ結構あるが、あの巨体から炎が吐かれたらどこに逃げても間に合わさないだろう。


「逃げても間に合わない、か……。なら、やるしかないな。シェルはアッシュと逃げろ。俺が倒してやる」


 そう言うとブラウズは駆け出した。

 いくらブラウズが強くても一人で向かうのは無謀だ。

 相手は普通のドラゴンではないのだから。


 君は決めなければいけない。

 このままシェルと逃げてブラウズを犠牲にするのか。

 ブラウズと共に巨大なドラゴンに立ち向かうのか。


 君は……。

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