第29話 町の捜索

 君はブラウズを探しにいくとシェルに伝える。


「でも、アッシュは町の中を分かっているのですか?」


 今は町の中は危険だという事をブラウズから聞いている。

 そんな時にシェルに行かせる訳にはいかなかった。

 町については買い物に行った時に周辺の道は覚えている事をシェルに伝えた。


「分かりました。アッシュにお任せします。暗いですから気を付けてください」


 少し悩んでいた様子だったが、納得したようで君に任せたようだ。

 君は頷くと、急いで外へ出る。


 辺りは薄暗くなっていて、大通り周辺は一定間隔に外灯の明かりで道は良く見えた。

 四角の箱の中央に発行する小さな球体が浮かんでいて、それが本来は暗闇である場所を照らしている。


 大通りに沿って一通り見て回るが、当然ブラウズは見つからない。

 そうすると横に伸びる細い道を辿らないといけないが、それを全部探し回っていると夜が明けてしまうだろう。

 このまま悩んでいる場合ではない。

 君はブラウズを見つけなくてはならない。


 細道を闇雲に探しても見つける事はできないだろう。

 ならば考える選択肢は限られている。


 君は思い出す。

 大男に殺されそうになった時に君以外の声が介入した事を。


 そして、問いかける事を考える。

 君の中の『あの声』に。


 自身の中にある『あの声』に君は……。

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