第30話 ブラウズの行方
ブラウズがどこに居るのか強く問いかける。
反応はすぐに返ってきて、低音の声が君に対して苛ついた意識を向けている。
―――
―――解約を交わしたのだ。それくらい分かってもらわねば困る。
それだけ聞こえると反応がは消えた。
あの声は君ならば分かると言った。
ならば、それができるはずだ。
君はブラウズを知っている。
温かな心に、力強い手や身体の大きさも分かっている。
目を閉じてブラウズを思い浮かべる。
すると、自分の周辺の道が見えてブラウズが君から離れて移動していく。
君の居る場所から横の細道を通った先にある橋の近くでブラウズは立っている。
目を開けると君は走り出した。
ブラウズはもう家に戻っている時間だと言っていた。
それなのに橋の近くにいるのは、どう考えてもおかしい。
走っていると水が流れる音とは別に、斬撃のような音が耳に入った。
そこには水路があり、橋がかかっている。
音は橋の下から聞こえていた。
君は水路に降りると、橋の下に空いている穴があった。
下水用の穴だと思うが、人が入れるくらいの大きさはあった。
近づくにつれて音が大きくなっていく。
君は下水用の穴に……。
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